窃盗団

十一月十九日(月)陰
会社の化学プラントに窃盗団が入って化学薬品が大量に盗み出された。サリンなどの製造も可能な化合物であり、大問題になっている。私は現場に行って状況を視察することにした。警備の隙をついて忍び入り、窓やドアを破壊することもなく的確に化学薬品のある場所にたどり着き、淡々と作業を進めて持ち去った様子が窺われる。ただ、薬品が押し入った数人のうちのふたりにかかったようで、脱ぎ捨てられた作業衣が15時間燃え続けたというメモが残されている。現場を発見したのは後輩のAで、化学の知識があったため、流し放しになっていたタンクのバルブを閉めて安全を図ったものの、そのとき吸引したガスにより今は入院しているという。ヘルメットをかぶったアメリカ人の副工場長が、窃盗団が薬品を溶かすために使った溶剤を持ち運んだと思われる、焼酎のペットボトルを拾って何か言っている。部下らしい日本人が、試験室の畳がこぼした薬品で爛れているのを、ヘラのようなものでこそぎ取っているいる。私は、これを廃棄していいかどうかを当局に確認すべきだと言うが、どうやら指揮系統が乱れていて、管理が一元化されていないことを理解し始める。そこへ、友人で東大の教授をしているT氏がやって来て、心配だから見に来たという。この後アメリカからその道の権威もやって来るのだという。T氏はざっと現場を見た後外に出て、きれいな海を背景にしてホースの先から迸る水をうまそうに飲んだ。私はどこかで見た光景だと思い、あまちゃんでアキちゃんが同じことをしていたのを思い出した。それから、工場の方に行くと、工員がたくさんいて、アメリカから来る査察団に対してどこまで話したらいいかなどと話し合っている。そこへさっきの副工場長がやって来て、貰っている給料くらいの仕事をしろと言うので、険悪な雰囲気になる。私は労使関係を含め、管理が杜撰なために窃盗される隙が出たことを本社に報告しなければならないと思うのだが、いつの間にか、ものすごく混んだ電車に乗っている。途中で人が降りて空き、そのまま乗っていると高架線に入り、両脇にはソープランドが並んでいる。そのときやっと、そういうことで有名な町に来たことを思い出し、せっかくだから寄っていくかと思う。次の駅で降りて街に出るが、学生服を着た団体が気勢を上げていて、何となく入りづらい。それでもさり気なく一軒の店に入る。女の子を選べるようになっているのだが、パネルに貼られた写真は撲られた青アザがあったり顔にピアスや刺青が入れてあったりでおどろおどろしい。次の部屋には全裸の女性たちがいて、背は高いが痩せこけていたり、顔が好みでなかったりで、なかなか選べないが、やっとひとり好みのきれいなお姉さん風の娘を指名したところで目が覚めた。