嶺庵茶話会

一月二十二日(日)雨後陰
午前中茶話会記を認め、併せて短冊に書をものす。「花気薫人欲破禅」とて、正に昨年来の余の成り行きに似たり。二時前駅に車で出向き今日の客O部夫妻を迎へる。夫妻は余などより遙かに若く昨年挙式を挙げたばかりの新婚。竹友会OB及び如道会員にて二人とも名取なれば如号を持つ。歳は若けれど余よりも竹道では先達也。リビングにて挨拶歓談の後書斎飄眇亭を案内し、其の後嶺庵にお通しする。N子の点前にて茶菓を呈し、次いで聞香。眞那賀松籟、無銘沈水木、伽羅みだれの三種也。二人とも聞香は初めてとの事なるも香木の幽玄なる香りを愉しみたる様子也。其の後休憩を挟んでO部夫妻と余の三人の連管にて吹禅。大和樂、普大寺虚空、調・下り葉、無住心曲、布袋軒鈴慕に根笹派松風を二回。何曲かは先日購入せしリニアPCMレコーダーに録音す。先週此の機器が届いて独奏を録音するに余りの下手さに愕然とし、律と奏法を正すべく如道先生のCDと聞き比べて独習を続く。今回連管で録音したところ前より遙かに良いのは、二人の力量に依るものならむ。合間の尺八談義も楽しく、また譜本や奏法の細かい疑問点を教へて貰ふなど益すること少なからず。七時前二階に上がり薬石。献立は下記の如し。

  • からすみ 塩豚マスタード添へ 胡麻隠元
  • 鶏の治部煮
  • 牛蒡とじやこのサラダ
  • 胡麻豆腐
  • 鮭御膳(ロシア産塩鮭の焼物とご飯)
  • 吸ひ物 鶏ささみ、みつ葉、柚子、玉子豆腐、しめじ
  • 香のもの 昆布巻大根 かぶら漬 日の菜漬
  • 果物 苺 林檎
  • 酒 紀州 黒牛

楽しい時は瞬く間に過ぎ十時前駅への途中まで送り袂を別つ。其の後釜等茶道具食器類の片づけを為し深更に至つて就寝。