如道忌

三月四日(日)雨
N子は着物に着替へて朝八時過ぎホテル前よりタクシーで京都駅に移動。駅前のホテルに荷物を預け、朝食を駅ビルで取つてから東福寺まで奈良線に乗り、九時半に徒歩明暗寺に着く。既に門内で尺八を吹く姿あり。中に入ると如覚もゐて早速松風を合せる。前回道場で上手く合はなかつたところを確認しつつ二度吹き、それから一部を何度か浚ふ。音の出はまずまず也。其の間神先生も到着され、諸先生に挨拶を為す。其の後坐禅衣に着替へて十一時から第四十六回如道忌が始まる。先輩諸兄の演奏はそれぞれ音味も異なり深みもあつて聴き惚れる事少なからず。余の出番は休憩の後にて、結果は朝の練習より音が出ず、まあまあの出来であつた。一番上手く吹けた時を百点とすると六十五点くらゐであらうか。
四時過ぎ献奏が終り、懇親会となる。余は懇親会の司会を如覚と倶に仰せつかり、前半余が先生方のご挨拶を戴く。六時過ぎ宴も終り、片付けをしてから先生に挨拶の後明暗寺を辞す。如覚と同道して京阪にて祇園四条に到り、花見小路にて竹友会OGで偶々京都に来訪中で如道忌にも顔を出した旧姓Aさんと待合はせ、都合四人でAさん馴染の居酒屋で飲む。如覚は印度哲学、Aさんは佛教美術を専攻したる者なれば京都の寺院仏像の話題と、尺八三絃の芸談で盛り上がる。九時過ぎ雨なれば花見小路よりタクシーにてホテルに戻る。