音論芸談

四月十五日(日)晴、昨日よりは暖かきものの夜になりて寒し
十時半過ぎ有楽町に着き、大江戸骨董市を見て歩く。房紐を二つ購ひ、また龍村織物の敷き布を求めし他は結局何も買はず。水滴や茶入れに見るべきものあれど予算に合はず断念。昼食をとつた後十二時半にN子とK子は藤田紘一郎先生の講演を聞きに行き、余はひとり骨董市をもう一度見て廻つた後大手町まで歩き、其処から東西線で早稲田に移動。駅でY部先輩と一緒になり倶に一如庵まで赴く。近くの公園に諸先輩方参集してをり挨拶を為してから道場に入る。二時より如道会例會也。通例より参加者多く、各自一曲づつ吹き終ればすでに四時半に近し。急ぎ卓を並べるなど懇親会の用意を為し、酒と美味の肴で懇談。各々近況報告の後話題はいつしか尺八古典本曲の本質や、楽器としての尺八の特性、三曲界を中心に今後愛好者・奏者の減少が見込まれる邦楽界において今後何を為すべきかといつた深みに入り込み、様々な意見や見解が述べられ興味深し。尺八の音と音楽を心から愛する同好の士による議論は止まる処を知らずと雖も、八時近くになりぬれば散会となる。近来に無き盛会と云ふべし。
一如庵を辞し、場所を早稲田駅近くの居酒屋に移して有志による反省会を開く。参ずる者六名。いつものメムバーである。芸談懐古談を楽しむこと例の如し。九時に到り散会。帰宅十時半過ぎ。十一時には就寝す。