三谷と経営

四月十四日(土)雨、寒し
いつも通り起床し、八時に家を出づ。東海道東横線、地下鉄を乗り継ぎ早稲田に至る。早く着きたれば一茶を喫した後一如庵に赴き、十時より稽古。大和樂、布袋軒三谷、布袋軒鈴慕の後越後三谷を初めて全曲通しで吹くも、まるで形にならず。玉音も吹けず、息も絶え絶え也。十一時過ぎ辞してつけ麺を食してから古本屋一軒だけ覗き熊倉功夫著『後水尾天皇』(岩波同時代ライブラリー)を五百円にて購ふ。其の後品川に移動し、某会社の経営会議なるものに強制的に出席させらる。余は会場の真ん中よりはやや前の演壇に向かつて左の中央寄りといふ目立たぬ場所に座を占め、極力人目を避け存在を消しつつ一時より五時半までの時間を無為に過ごす。其の後懇親会となるも、余は世話になりたる数人の元上司に挨拶を陳ぶるのみにて須臾にして去る。帰宅後空海『性霊集』の書写に筆を執ること日課の如し。