竹香酒 

十一月二十四日(土)晴
十一時より一如庵にて尺八稽古。一閑流六段はほゞ完成。急ぎ歸路に就き、途上花を購ひ更に川沿ひの道から野草を摘んで歸宅。嶺庵に竹籠の茶花、二階は花瓶に生けてから嶺庵の掃除などをするうちK氏より連絡入り、五時に車で驛まで迎へに行く。K氏夫妻を乘せ拙宅へ。嶺庵に通し菓子と抹茶の後聞香。K氏より頂戴した香木の他二つを聞く。居間に移り、家人の手料理にて和歌山の銘酒黒牛を呑む。胡麻豆腐、筑前煮、からすみ、柿の和え物などの後糠鰊の焼物を出すに、K氏余りの旨さにまづ笑ひ其の後泣くといふ余と全く同じ反応を示す。涙が出る程に美味いのである。十一時K氏夫妻を送り十二時就寝。