觀智院、骨董、香木

五月十一日(土)雨
八時過ぎ宿を発ち京都驛に行き、其処から徒歩東寺に至る。何時行つても東寺は中途半端に遠い。バスや電車に乘る程ではないが歩くと結構あるのである。九時過ぎ東寺塔頭觀智院に入る。初めての拝觀なり。宮本武蔵水墨画や五大虚空菩薩像、茶室や枯山水と中々見どころの多い寺で、茶室は中まで入れるのが有難い。雨に濡れた庭も風情があつた。
五大の庭
楓泉観の蹲
茶室に通ずる廊下脇の坪庭

茶室二景
東寺からバスで四条烏丸に出で、其処から地下鐡で丸太町に至る。徒歩夷川通りから衣棚通りを北に上がつた処に在る古裂會本社に赴く。骨董オークシヨンの下見會に初めて参加する為である。既に送られて來たカタログで目ぼしいものはチエツクしてあるので、それらの現品を見て入札の目安とする訳である。矢張り寫眞で見るのと現物ではかなり感じの違ふものが多い。安く尺八が出てゐたので期待して見てみると歌口は欠けてゐる上寸が足らない。折角安く買つても修理に出しては意味がないから入札しないことに決す。文具等に見るべきものあり。送迎のバスで相国寺近くに在る第二會場の相国画廊に移動、此方は大物や掛軸など。様々なものを見て勉強にもなり、面白くもあつた。
其れから雨の中歩いて山田松香木店に至る。煉香「荷葉」と白檀角割を贈答用に求む。知人が同僚の茶室開きに招かれ、其の際の贈り物を頼まれたのである。併せて自家用に印香、防虫香等を購ふ。其の後丸太通りを東に進み寺町通りを南下、古書肆を何軒か覗く。一書を得るのみ。宿に戻り預けた荷物を受け取り、京都驛より新幹線で帰浜。日本酒一合とビール一本で車中熟睡。本郷台にて丁度出先から帰りの家人と落合ひ倶に歸宅。