角田さん

二月二十三日(火)晴
東京03の角田さんと飯塚さんと私のトリオでコントをやることになつた。三人は同じボロアパートに住む住人である。舞台はアパートの建物の前で、玄関の外にピアノと机が置いてある。私は机で何か書きものをしてゐて、飯塚さんがピアノを演奏してゐる。そこへ角田さんがやつて來て、曲をちよつと聞いてから調子よく「またあ、シユーベルトなんか彈いちやつてえ」と笑ひながら言ふと、飯塚さんが演奏を止めて、「えつ?これカッペパピーだよ」と絶妙な間と言ひ囘しで言ひ放つたので、思はず私が爆笑してしまひ、コントが滅茶苦茶になつてしまつた。もちろん知つてゐるネタなのに、そのカッペパピーといふことばの響きが絶妙で、「惡い、惡い」とふたりに謝りながらも笑ひが止まらないといふ他愛もない話。
余は東京03の角田さんが大好きである。其の演じるところの、小心で小さい人間なのに大きく見せようとする感じや、女にもてたくて大變な努力をしてゐるのに、つまらないことで切れて台無しにするところなど、自分を見てゐるやうで親しみを感じるのである。大袈裟な演技も、調子に乘りやすいところも私に通ずるし、何とも言へず好きなのである。