転勤

九月二十四日(日)
モスクワに転勤になった。出勤すると会社にはオランダ人でアメリカ時代の上司だったD氏がいて握手をする。すぐに皆で昼食に出ることになるが、皆九月だというのにコートを着ていて、薄い上着で来た私は今年はきちんと防寒のできるコートを買わなくてはと思う。職場には私より少し年下の同僚が三四人いて、これでは日本は調香師が極端に少ないはずだが大丈夫なのだろうかと思う。その一方で、ロシアも市場は大きいからここで頑張れば大きな仕事ができるかも知れないと、しっかり働く覚悟を固める。それから同僚らと喋っていて、後輩のNが誰かに「ずいぶん上からものを言うね」と言ったので、私は思わず「正しい日本語!」と叫ぶ。「上から目線」なんてことばは正しくないからである。Nは当然といった顔をしていて、流石に上海で働いてきただけのことはあるなと私は感心している。