コマーシャル

一月十四日(月)
老婦人が悲しそうな表情をしている。視線の先に壊れて捨てられた電気スタンド。
【回想】真新しい電気スタンドが届いて嬉しそうにしている女の子の笑顔。
壊れた電気スタンドに戻ると、そこに手紙が添えてあるのに老婦人が気づく。手に取って読み始めると、やがて表情が柔らかくなり、安らかな微笑みに変わる。
場面変わって、オフィスの一角である。修理しているのか、ふたりのワイシャツ・ネクタイの上にジャンバーを着た男性がコピー複合機を囲んで作業をしている。すぐに、何かを取り付ける作業が無事終わったらしく、ふたりは場違いなほど派手なガッツポーズをして喜び合う。
そこに手紙を読む若い女性の声が重なり、スタンドの一部がコピー機に埋め込まれてこれからも生き続けることが語られる。そして後日談のように、オフィスの男性がやはり電気スタンドだっただけあって、パネルの表示が明るいんですよ、などと言う。結局、何のコマーシャルだかわからずじまいであった。