ソファと音楽

先日ソファがやっと到着した。ハンス・ウェグナーのデザインによる、GE240というモデルで、名作と言われている。世によく出回っているGE290より、もともと数が少ないうえに、チーク材のものはさらに希少と言われている。幸い、たまたま見に行った家具屋でネットに出される前に見つけて押さえたので手に入れられたのである。そのため、ソファカバーのファブリックも選べた。黒に近いグレーにして、他の家具との調和がとれた。

これで、リビングの家具総入れ替えプロジェクトは完了。ソファを置いてみてやはり必要と思い急遽注文したソファの横に置く丸いサイドテーブルはまだ届いていないが、とにかく思い描いていた空間が完成した。

ソファが入って一番変わったことは、音楽を聴くようになったことである。それまでほとんど音楽など聴かなかったのに、ソファに座ると不思議と音楽が聴きたくなる。聴いているのはもっぱら古いジャズである。家具がミッドセンチュリーのものだからというわけではないが、50年代60年代のジャズである。これが実に心地よい。ワインやスコッチ、或いはエスプレッソコーヒーを片手に聴くジャズは、仕事の疲れを癒し、幸福な気持ちにさせてくれる。

ところで、先日ワインセラーを見に行ったついでにジャズのCDを買おうと思ったのだが、CDショップなるものが、本屋以上になくなっていることを知った。同時にオーディオ製品を見に行ってわかったことは、今やCDを買って音楽を聴く人は少数派であること、そしてCDを買うにしても店ではなくアマゾンで買うということだ。オーディオ機器では、今やCDすら聴けないものが増えている。ステレオにしても、要するにMP3か、スマートフォンタブレットからブルートゥース経由で聴くのが主流になっているのである。本にしても音楽にしても「モノ」として所有するのは旧世代の習慣であるらしい。調べてみるとアマゾンプライムで聴けるものはそのままブルートゥースでステレオに送って聴けるらしい。そうであれば、わざわざCDなど買う必要はない。というより、それに対応した新しいステレオが欲しくなった。そして、アマゾンミュージックに入っていないものだけCDで買えばいいのである。それも結局アマゾンで買うのだから世話はない。なお、ワインセラーは迷った末に購入しないことにした。それほどワインにこだわっているわけでもないし、入れておくほど高いワインを買うつもりも飲むつもりもないからである。むしろ、PCが少し不安定になり、こちらの買い替えどきだと思うので、そちらを優先することにした。

それはともかく、音楽をめぐる状況の変化には驚くばかりだが、まあ何ごとも、時代の流れの最後尾を追いかけるしかないのであろう。昔、学生時代の話だが、ある友人にわたしについて「時代遅れの最先端」と言われたことがある。今にしてその評言が的を射たものであったことを知る思いである。