言の葉・言の花

カタカナノヒビキ

日経新聞の連載「私の履歴書」は今画家の安野光雅である。其の中で安野が戦後間もない頃のある出来事を書いてゐる。バス停でバスを待つてゐる時に「バスキタカ」と話しかけてきた朝鮮人の老女に、安野が片言の朝鮮語で返事をすると喜んで、「ヒトリダマリノ…

辟支佛

造像功徳経を読んでゐて見知らぬ言葉にぶつかつた。辟支佛といふもので、辟や支の文字を漢和で引いても出てゐない。単語でなく文として支を動詞として読まうとしても意味が通じない。ところが、法華経を読んでゐたら同じ言葉が出て来て注釈もあつた。それに…

ITの人

社内で「情報セキュリティ研修」なるものがあり、出席が義務付けられてゐる為参加。情報システム部の人間が説明をするのだが、ところどころ日本語がをかしい。緊張のせゐとは思へず、堂々と読み間違へる。特に、「主たる」といふ言葉を「おもたる」と読んだ…

就学浪人

就職浪人といふ言葉を最近よく耳にするが、考へてみると其れはをかしな言ひ方だ。仕官先のない侍を浪人といつたのだから、学校を終へて就職できずにゐる人は唯「浪人」と呼べばすむ話である。寧ろ今普通に使われてゐる、大学に入れず次の年の試験まで予備校…