三稽古

十二月十七日(土)晴
十一時より一如庵にて尺八稽古。明日の納会での演奏曲目が布袋軒鈴慕であることを告げらる。正午辞して徒歩高田馬場に到る間に昼食を取り古本屋にて数書を購ふ。早稲田通りの馬場に向かつて右手の通りの古本屋は昔に比べ大分数が減つたやうである。ラーメン店の増加は驚くばかりなり。高田馬場より山手線にて原宿に行き、N子と待合はせて妙喜庵に赴き香道稽古。お初香に向けての稽古で、N子は香元、余は筆者を務めることになつてをり、作法のお浚ひ。硯箱と文台を奉げ持つて入室し、料紙を広げて会記を書き、香が廻つて記紙と呼ばれる回答用紙を集めて答へを記し、正解を発表した上で採点してから丸めて飯頭に渡し、硯箱を閉じて再び文台と供に捧げ持つて退室するまでの手順を復習。実際に書くのは一度のみなれど手順の確認を三度まで行ふ。一度目は足が痺れて立てず。本番では香席に十人入るので時間がもつと掛るので、着物袴をつけることもあり心配である。
三時半過ぎ辞して渋谷経由つくし野に到り、岳父が車で迎へてくれN子の実家へ。今度は茶の湯の稽古である。点前を二回やつたところでN子の友人夫妻が到着し、稽古を兼ねて余が再び薄茶を点て、さらに尺八を吹いてもてなす。大和樂、阿字観、松風を吹く。其の後酒席となり岳父岳母を交へ六人で歓談。岳父より水産大学時代の南極への研修航海の話を聞き、秘蔵のアルバムを見せて貰ふ。十一時半になり余は明日も早ければ先に休むこととし、その儘就寝。初めてN子の実家に泊まる。客は一時過ぎまで話し込んで帰つて行つたらしい。