テック族

   日経ネット版で連載中の「プロ野球動かしたテック族」が面白い。近鉄オリックスの合併に始まった一連の球界再編の裏側に関わった人々を取り上げ、スポーツ新聞ではわからない「ことの本質」を丁寧に検証している。これを読むと、激動のパリーグが、ソフトバンク楽天に限らず、IT系や金融系などから有能な人材を得て、今までの日本プロ野球界にはないが世界のスポーツ界では常識になりつつあることを、比較的自由に導入したことがよくわかる。私も数年前からパリーグTVを視聴しているが、これもパリーグが団結して作ったマーケティング会社が推進したものだそうで、時代の流れをつかんだ動きであろう。旧態依然でテレビと新聞にしがみつくセリーグにくらべ、危機的であったからこそ出来たパリーグの改革だったのかも知れない。だとすると、ここ数年、いや十数年にわたって野球の実力でもパリーグがセを圧倒しているのは、球団運営そのものの改革に成功した結果なのではないかと思えて来る。何度も言っているが、ダルビッシュや田中、大谷がいたパリーグの方が、明らかにタレントが揃っているのである。セの中ではDeNAが一番パの流れに近いようだが、後はまったく古色蒼然とした魅力のないチームばかりである。特に巨人、阪神あたりのフロントと現場の言動に唖然とさせられることが多く、ああいうチームの熱狂的ファンというものが、私には天然記念物のような珍種にしか見えないのである。
 ところで、先日終わったプレミア12で日本は優勝したが、正直言って、日本が強かったから勝ったのではなく、他が弱かったから勝てたということではないかと思う。それでも勝ち切ったことは素晴らしいが、掛け値なしに喜べるとしたら幸せな人たちである。ただ、甲斐野や高橋礼の活躍には目を見張るものがあり、鈴木誠也や浅村の勝負強さと山崎の安定感は頼もしい限りであった。やはり、野球は面白い。