我道

一月十八日(水)晴
スマホが嫌ひである。テレホンではなくテレフオンだらうといふのもある。スマホといふ音も字面も下品なのである。しかも自ら「スマート」を名乗るところが嫌らしい。自己紹介の際に「お利口な浩君です」とやるやうなものである。昔流行つたインテリジエント・ビルヂングと同様の尊大さが匂ふ。だいいち林檎といふ会社が好きになれない。林檎といへば椎名であつて、アイ何とかはiモードといふ言葉が出て以来ずつと嫌ひである。ちなみに「ブラツクベリー」といふ名前も妙に癇に障る響きであつた。まあ、出たてにそれを見せびらかしてゐた太つたアメリカ人の小母さんが嫌ひだつたといふことも大きいと思ふが。
五十面下げてスマートフオンを器用に操るオヤジにだけはなりたくない。駅や電車でスマートフオンを見ながら歩調が遅くなつてゐる人も嫌ひで、邪魔な余り電車に轢かれて死んでしまへと思つたりするが、さうなればもつと迷惑だと思ひ直す。便利なのは分かるが、便利だけを追ひかける空しさも知るべきであらう。と言つても世の大勢はそんな事を聞く耳は持たないのは百も承知してゐるから別に声高に主張する気はない。恐らくスマートフオンより進化した何ものかが世間に出回る頃には余もスマホの軍門に下つてゐるのであらう。時代遅れであれば余も手を出しやすいのである