片岡凝蔵 

十月九日(火)陰後晴
長引く五十肩は右肩から左肩へと移つて腕は上がるものの可動域は狭まり、痛みは増してゐる。更に此の処酷い肩凝りが重なり、老體の不如意に氣も鬱して來る。歸宅後も重い二尺三寸管を持つ氣になれず久しぶりに一尺八寸管を吹くに思ひの他鳴つて黒髪、千鳥、夕顔を氣持ちよく吹く。夕食後燈下草森紳一を讀む。十一時過ぎ就寝。横向きに寝ると下になる肩が痛むので仰向けのまま眠ることを決意する。一晩横臥することなく朝を迎へたら、生まれて初めての事かも知れない。