年月

十二月四日(水)晴後陰
仕事に手間取り定時に遅れて退社せんとするに、エレベーター前にて職場の新入社員の女性と一緒になりたれば驛までの道と電車も途中まで同道す。今まで余り話したことのなき子なれど、親しみやすく快活なり。横濱の産にて高校大學とも都内なれば東京の話の通ずるは頼もしき限りなり。齢を聞けば何と樂天のマー君と同じ歳で二十五といふ。余とは、彼女の今まで生きて來た時間よりも長い年月の齢の差がある訳にて嘆息を禁じ得ず。平成の世になりてまさに四半世紀、其の間余は鬱勃と時間を浪費するのみにて何事も成し遂げ得ず、むしろ恥ずべきことのみ多くして後悔の思ひ堆積す。此の先生き得ても恐らくは四半世紀に過ぎざるを思へば、日々の重み毎日の行ひの大切さを痛感せざるを得ず。若き人々と交はることの利点は生気活気を得ることの他に、過ぎ去りし己が若さの虚しさを思ひ知ることにもあるらむ。余職務上に部下を持たざれば職場の若者とも上下関係なく親しく接するを得る。此れ實に幸ひな事ならむ。有難きこと也。