社史の図書館

六月六日(水)雨
県立川崎図書館に行く。社史の収集で全国的に知られた図書館である。溝の口のかながわサエンスパーク(KSP)に移転してから初めての訪館である。暫く休館中だったが、5月にやっとオープンした。社史の仕事をする上では重宝な図書館であり、休館中は見たい社史があっても見に行けずに結構不便であった。今回中はだいぶきれいになったが、まだあまり知られていないせいか、あるいは場所が悪いせいか人は少なかった。川崎から南武線武蔵溝ノ口に出るまで意外と時間が掛かるし、駅から歩けば15分はかかる。シャトルバスは出ているが、朝の通勤時間帯はKSP勤務の者しか使えないのだという。雨の中歩いたら蒸し暑いせいか汗をかいた。
以前は川崎の駅からまっすぐ東に進んだ、元は川崎球場だった競輪場の近くにあったので、今度の場所とはずいぶん周囲の雰囲気が違う。工業地帯にあったもとの建物は確かに古く、戦後間もない頃を思わせるきたない建築であったが、今度のは、それでも建ってからすでに二十年くらいになるのではないか、前からある複合施設の中に移転したのである。前のところは狭く、社史を並べた書棚の間が詰まっていて捜すのも息苦しいほどだったが、さすがに新しい方はゆったりしている。机や椅子も前とはくらべものにならないほど綺麗である。新品だから当たり前である。それなのに、何となく前のところの方が落ち着いて調べものが出来たような気がするのはなぜだろう。単に最初に行って馴染んだせいなのか。それとも、そもそも社史編纂というものが、古臭いオフィスで紙や書物に埋もれながら作業する、しょせんは日の当たらない仕事であるがために、ぴかぴかの図書館に違和感を覚えるのだろうか。まあ、この先何度か通えばそんなことも感じなくなるのかも知れないが。ただ、帰りに乗った駅へのシャトルバスに乗り合わせた人たちの会話を耳にした感じでは、この人たちとは合わんなあという感触はあった。KSP に入っている企業がIT系なのか外資系なのかよく知らないが、馴染めぬものを感じたのである。