三大調香師

六月十五日(金)陰
職場で世界三大調香師は誰かという話題が出た。マーケティングの女の子が、香水と無縁なはずのフレーバーの顧客から問い合わせがあったというのでわたしの意見を求めて来たのである。食品メーカーというのは、こんな関係ないのにちょっと知りたいことをよく香料会社に聞いてくる。何でも言うことを聞く業者くらいにしか思っていないのであろう。それはともかく、そんな質問を受けてみると、答えはそう簡単ではないことに気づき、逆に考えてみる気になった。
まず、時代超越で選ぶとすると、フランソワ・コティエルネスト・ボーは外せないが、困るのは後ひとりをどうするかである。ゲルラン家から入れたいところだが、そうすると誰にするか意見が分かれる可能性がある。でもまあ、ジャック・ゲルランが妥当なところだろう。
もう少し近代、第二次世界大戦後ぐらいに狭めると、エドモン・ルドニツカ、ジャン-クロード・エレナ、アルベルト・モリヤスあたりであろう。
ただ、今回は健在の人という条件だったので、わたしが選んだのは、ソフィア・グロスマン、ミシェル・アルメラック、アルベルト・モリヤスの三人である。世界的なヒットがあり、香水の歴史に新たな香調をもたらし、多くの調香師に影響を与えている点で、この三人は傑出している。
影響力という点では、著作その他で最も大きいかも知れないエレナを外したのはエルメスの専属だからであり、逆に専属の三大調香師を選ぶとすれば、ブランドのプレスティージ性から言ってもジャック・ポルジュティエリー・ワッサー、ジャン-クロード・エレナの三人が妥当なところだろうと思う。シャネル、エルメス、ゲルランの専属調香師だからである。
まあ、こういうのは何を基準にするかで意見は違ってくるだろうし、個人の好みも関係して来るだろうが、エバァリュエーターの女の子の賛同も得られたので、それほど突飛な意見ということはなさそうだ。