紅白雑感

 今年の大晦日は大好きなベビーメタルが出るというので久しぶりに紅白歌合戦を見た。といっても最初から見たのではなく、出番の少し前から音を消してテレビをつけていた。司会が、大好きな二階堂ふみと大嫌いな大泉洋の、その間に好きでも嫌いでもなく単に興味のないウッチャンというのも笑えたが、とにかく滅多に見ることのない番組を久しぶりに見たことになる。何組か前の、「香水」という曲は、香水評論家としてひと言何か語るべきなのだろうが、音を消していないので聞いていない。ただ思うのは、歌詞的に見てどちらかというと香水がネガティブなものに捉えられているなということと、ドルチェ&ガバナの香水って何やねんという突っ込みを感じただけである。要するに、ベンツに乗っていますというのは通用しても、日本人であるのならトヨタに乗っていますと言ったら、トヨタの何に乗っとんのやという話である。トヨタにクラウンもカローラもあるように、ドルチェの香水だっていろいろあるねん。どれやねんっちゅう話や。シャネルの香水と言ったら、シャネルのどの香水?と聞くかも知れないが、ドルチェだっていろいろ香水は出ているのに、それをドルチェ&ガッバーナの香水のせいにされてもなあ、というのが率直な感想である。ドルチェのどの香水をつけていたかによって、浮かび上がる女性像がまったく異なる可能性もあるから余計である。

 それはともかくベビーメタルである。わたしの一番のお気に入りゆいちゃんが辞めてから興味を失ってはいたものの、さすがに紅白に出るとあっては見たいと思った。もっとも、選曲が「イジメ・ダメ・ゼッタイ」、いわゆるIDZだったのはいかにもNHK的だがそれは置くとして、新メンバーの顔の大きい娘が、意図的なのかほとんど画面に映らなかったのはオリジナルメンバーへのリスペクトのせいなのだろうか。スーメタルの相変わらずの凛とした美貌と歌声は素晴らしく、モアメタルの少し痩せて少女時代のようにすっきりした面立ちになったのも可愛らしかったが、ここにユイメタルがいたらどんなに素敵だっただろうと思うファンは少なくないだろう。鞘師を悪く言いたくはないが、オリジナルメンバーで見たかったというのが正直な気持ちである。