薪能

十月八日(土)晴
三時に家を出でN子とふたり着物を着て鎌倉に往く。横須賀線が遅れ鎌倉駅に着いたのは四時であつた。すでにKさんは改札口の先で待つてをり、すぐに三人でタクシーにて鎌倉宮に向かふ。舞台正面第一列目の席に着き待つこと暫しにて五時より第五十三回鎌倉薪能開演。神事や薪の火入れなどの儀式の後演目が始まる。素謡、仕舞と続いて、人間国宝野村萬作の狂言「附子」となる。流石に面白く見る。休憩の後宝生流船弁慶。昨夜予習で読んでをいたので謡の言葉もよく聞き取れ、変化の多い舞台といふこともあり楽しめた。平知盛の舞は亡者の凄みの如きものを感じ興趣を覚える。やや寒さを感じ始める頃終演。バスにて鎌倉に戻り、小町通りにて三人でしらすご飯を食してから帰宅。