ぼんぼり祭り

八月九日(木)晴
夏休み第一日目である。午後夫婦で浴衣に着替へて電車にて鎌倉に赴く。古本屋数軒を巡り、鏑木清方美術館に入る。御成通りで一茶の後鶴岡八幡宮に到り、夕闇の迫る中ぼんぼり祭りのぼんぼりを見て歩く。流石に浴衣や和服の人多し。目当ての松岡正剛先生のぼんぼりはすぐ見つかる。其の他地元の有力者や有名人が書や畫をぼんぼりに描き、其れが本殿に至る参道に並ぶのが鎌倉の夏の風物詩ぼんぼり祭りであるといふ。余は初めて見物す。秋吉久美子朝丘雪路といつた芸能人や県知事や市長といつた政治家、それに十文字美信などの芸術家の作品もあるが、思つたより有名人のものは少ない。それでも、程よい混雑の中歩き回ると良い書もあり面白い畫もあり楽しめる。N子が先日より書道を習ひ始めたる鎌倉在住の原山五葉先生の書もあり。居士林にて唱導を拝聴したことのある、円覚寺管長横田南嶺師の端正な書や、尾崎左永子さんの書を面白く見る。一回りして未だ暗くならざれば、源氏池横の屋台にて蓮の花を眺めつつホルモン焼きを肴にビールを呑む。夏の風情なり。やがて夕闇が降り、ぼんぼりに蝋燭の火が灯り、昼間とはまた違ふ景色を楽しみながら暫し逍遥す。期待以上に趣きもあり面白くもあれば、来年以降も又來たきもの也。鎌倉に近き住居の数少ない利点といふべし。七時半頃鎌倉駅より帰路に就く。
松岡先生の「樂」
原山五葉先生の書
横田南嶺師の書
尾崎左永子さんの書
わりと好きな書体
夜の樂しみ
畫は夜の方が美しいものも
こんな風景に