書と紬 

九月二十六日(水)晴
歸宅すると古裂會から小包が届いてゐた。象山の書軸である。又、此の日は家人が鎌倉の古着屋で余の紬の着物を買つて歸つた。多少光澤のあるグレーの長着と羽織で早速着てみると裄丈が僅かに短いが他は丁度好く其のまま着られる。安価で求め得た事もあり家人の大手柄である。紬は他に人に貰った茶の大島の澁いのを持つてゐるが、此方はだいぶ若やいで粋である。十月に何度か行く予定の演奏会等に着て往かうと思つてゐる。とは言へ袷はまだ暑いので直ぐに脱いで浴衣に着替へ、それから嶺庵で書軸を拡げて見る。寫眞で見たよりも状態は惡くなく、壁に当ててみるに、流石に部屋の雰囲氣が一變する。今後此の書軸に合ふやうに嶺庵をしつらへてゆくのが愉しみである。其れから夕餉の支度が整ふまで竹の稽古。今週末家人のボランテイア先の會で素人相手に吹く事になつた雲井獅子を吹く。夕食後張廉卿千字文と黄庭堅を臨書。その後讀書。