松竹梅香 

一月二十七日(日)晴
妙喜庵にてお初香。十時に到着し、点前と執筆の所作手順の確認。十一時前岳母社中の五名到着。茶席の準備を始める。十二時香道教室の八名集合しスケジュールと分担の確認。私はまず一時半からのお茶席に次客として入る。点前は義妹であった。それから少し空いて三時より香席の執筆を務める。点前は家人。執筆とは香席の記録をその場で毛筆で書くことを言い、その記録は香席に出た人の中の、香を当てた最高得点の人に与えられる。その前には一同に回して閲覧してもらう訳だから、多くの人の目に触れる「作品」であり、疎かには書けない。それなりの練習はして来たが、緊張もありやはりいつも程は上手く書けない。今回は松竹梅香という香組で、わりと当てやすい組香である。筆者とは言え香席に連なり香を聞く。何とか無事終了し、四時からの立礼席でのお題香に移ろうとしたところでハプニング発生。何とエレベーターが途中で止まり、中に人が閉じ込められてしまったのである。もちろんお初香参加の方々である。メンテナンス会社の人を呼び、三十分程で救出されたが、とんだハプニングであった。その為各席三十分程遅れて再開。お題香は香席と異り香を当てる遊びではなく、その年の宮中歌会始のお題で先生が歌を詠み、その各句にちなんだ香木を五種選んで皆で鑑賞し、併せて各自今年のお題の「立つ」を入れた和歌を詠むという趣向。すべて古伽羅でいずれも銘香。中でも紫香楽という銘の香がすばらしかった。それから茶室に戻りもう一服薄茶を飲ませてもらい撤収を手伝い、岳母社中を送り出してから地階に行く。今日の参加者五十名ほどによる鏡開きと懇親会に加わる。七時過ぎ早めに辞して帰路に就く。九時前帰着し着物を脱ぐと心からほっとする。疲れたが楽しい一日であった。