法事の寺

六月朔日(木)晴
京都の街を歩いている。裸足なので神社の境内やじゃり道は痛くてたまらず、アスファルトの道を歩くようにしている。連れにはこの痛みがわからず、私は地下足袋を買うことを決意、いつの間にか錦小路通りに入る。途中テント張りの無料休憩所のようなところがいくつもあって、白いテーブルとイスが並び観光客がたくさん座っている。そこを抜けて古本屋を捜しに河原町通りに行くつもりが寺町通りに出てしまう。途中新山書店という無店舗の古本屋の看板を見て、そこに買い求めようとしていた本があることに気付いて寄ろうかとも思ったが、書名を思い出せないのでそのまま通り過ぎる。しばらく行くと麻布の長玄寺というウチの菩提寺が現れる。改修したようで巨大な山門が出来ていて、その基壇が高すぎてとても通れず、脇から入るようになっている。行くと大勢の人に囲まれて太った「大将」と呼ばれる馴染のおじさんがいたので、今日が法事であったことを思い出す。ところが本堂も高くて上りようがない。途方に暮れていると、やはり裏手がスロープになっているのを発見するが、それも結構急なので老父は上がれないのではないかと危惧する。本堂に上がりそのまま階段で二階に上がると、前回の法事の際の履物の預かり証一覧のようなものがあり、懐かしい思いでこんなのがあったよと皆に見せようと下に降りると他家の法事の最中で、ウチの番は次だなと思う。