書評の良し悪し

 今朝雨の中新聞を買いに出ると朝日が売り切れていたので読売を買った。昨日は朝日を買って、朝日の土曜版には書評が載っているので読んだばかりだが、読売の書評は日曜なので二日続けて書評欄を読むことになった。昨日は中公新書板垣退助』や兵藤裕己の『物語の近代』などが書評を読んで読む気になったものである。今日は逆に、知人の薦めで最近読んだ『国道16号線』という本の書評があったので読んでみた。ところが、これが実につまらない。もしこの書評を先に読んでいたら買わなかっただろうと思うほどである。その本自体も、まあまあ面白くはあったが、わたしはどちらかというと原武史的なアプローチの方を評価しているので、16号線にまつわる何でもかんでも詰め込むのは好きではない。ただ、16号線沿線の地形に注目し、そこに住んでいた人々の姿を人類通史のような視点で描いた点は評価している。まあ、自分にとって興味を引いたことへの言及が少なく、「書評」というより「本の紹介」になっているから仕方がないとは思うのだが、すでに読んだ本の書評を読むと、書き手の力量があからさまに分かるという面はあるだろう。

 それはアマゾンのレビューにおいて顕著で、自分が理解できなかったことへの八つ当たり的なレビューは論外として、評価が甘すぎるのも辛すぎるのも、読んでいるものに関しては的外れに思うものも少なくない。そうすると、読んでいない本に対するレビューも信頼できないことになり、結局レビューは参考にしないに越したことはない。特にわたしが読もうとする本はレビュー数が5本以下のものが多く、あまり当てにならない。ただ、内容の要約や目次を載せてくれているレビューはとても参考になる。少し前までアマゾンでも目次の表示があったのに最近はそれもなくなっているので、目次を見ようとすると改めて横浜市立図書館のサイトで確認する始末で、アマゾン流新自由主義を心から憎んでいるのに、結局便利さに負ける自分が情けない。ただ、最近は面倒でも古本は日本の古本屋を使うようにしている。注文してからカードのセキュリテイ番号を打ち込み、さらに送料が確定してから購入の確定をするという、アマゾンより2段階余計な操作が入るのだが、それでもアマゾンにはないものや安いものもあるので、なるたけこちらを使うようにはしている。先日も『日本歌学大系』のある巻が、アマゾンだと3500円していたのが1800円だったので日本の古本屋で買ったが、送料がいくらになるかすぐにわからないのはいかにも不便である。今回は結局送料520円で大方のアマゾン経由古本屋より高かったが、それでも総額が安いのでよしとするものの、ということは100円200円日本の古本屋の方が安くても、総額でアマゾン経由の方が安くなる場合があり得るので注意が必要である。ただ、最近日本の古本屋は注文確定後は届くのが早くなった気がしている。