5月13日

 在宅勤務、例の如し。昨日出勤してA3用紙に印刷したゲラのチェックと明日以降の遠隔会議の準備など。五時半定刻にて仕事を止め、家内と連れ立っての散歩、日課の如し。市民の森の山ふたつを巡る。鶯の声頻り也。一時間ほど歩いて帰宅し、直ちにシャワーを浴びる。本日、内藤一成著『三条実美』(中公新書)読了。三条の家臣から身を立てて明治政府の高官となった尾崎三良の『尾崎三良自叙略伝』(中公文庫)を読んでいて、旧主人たる三条のことを詳しく知りたくなって繙いたものである。三条は優柔不断で能力に乏しいとはよく言われることであるが、実際にはそんなことはなく、「有徳の為政者」として、生まれたばかりの政府の調整役を務め、他に代えがたい役割を果たしたと本書は説く。その通りなのだろうと思う。安岡章太郎の『流離譚』を読んで以来、勤王派の動きにも興味を持ちはじめ、ただ毛嫌いするだけでなくもっとよく知らねばと思ったこともある。尾崎はなかなか興味深い人物で、この自叙略伝は掛け値なしに面白い。それにしても、三条が岩倉はもちろん、西郷、大久保、木戸などより年が若かったということに驚いた。むしろ、一番年長だと思っていた。同じ中公新書で出ている、大久保利謙の『岩倉具視』も読みたいが、アマゾンの古本で2500円以上するので諦めた。大久保利通の孫に当たる利謙の本は他のものを含めて高額なものが多いが、是非読んでおくべき歴史書が多いようだ。