ブーム

 今、叢書ウニベルシタスの一冊を読んでいるのだが、この叢書を手にするのは久しぶりのことである。きわめて質の高い海外の著作を翻訳してくれるので、一時はよくこの叢書のものを読んでいた。一冊読むと、次に読みたくなるものも同じ叢書だったりすることが少なくない。実際、次々とウニベルシタスで読みたいものがリストアップされている状態である。

 過去にもいろいろな「ブーム」があった。講談社学術文庫の青い背表紙ばかり並んでいたこともあるし、中公新書の江戸から明治にかけての歴史関係の本ばかり立て続けに読んでいた時期もある。時に、それが集英社メチエだったり、平凡社ライブラリーだったり、ちくま学芸文庫、岩波現代文文庫だったりと、不思議と同じシリーズの本を続けて読むことになるのである。巻末の広告の影響も考えられるが、それを見て次に読む本を決めていたのは新潮文庫岩波文庫を中心に読んでいた高校生くらいまでで、その後は興味のある分野のものを、リレーのように読み継ぐことが多かったから、そういうわけでもなさそうだ。やはり、その叢書なり選書なりのラインナップのテイストが、ある時期自分の読みたい領域にみごとに重なるということなのだろうと思う。

 とはいえ、ウニベルシタスは分厚いものが多いこともあって値段が高く、なかなか手が出なかった。図書館で借りても期間中に読み終われないことも多く、かといって新本で買うには高い。昔はよく古本屋を見て歩いたので、まともな古本屋には比較的よく並んでいるウニベルシタスを探して買い求めることも出来たのだが、今ではその暇もない。ただ、最近になって本代をけちっていてはいけないと思い直すようになり、本当に読みたいのであれば高くても買うことにしようと思っている。そうなると、当分ウニベルシタスを読むことになりそうである。