悲喜こもごも

十月二十七日(金)晴
清宮君が日ハムになったのは本当に良かった。巨人にならなくて本当に良かった。中村君の広島もよかった。それなのに自民党に投票する有権者が48%もいることに絶望する。安倍でいいと本当に思っているのだとしたら、驚くべきことである。民進党は震災時の失政から維新と一緒になって死ぬほど嫌いになったが、分立した立憲民主党の立場がはっきりしたため、今回はすっきりと立憲民主党に投票した。そして、恐らく選挙権を得て初めて、投票した候補者が当選した。ヤンキースドジャースワールドシリーズを見たかったのに、後一歩で負けてしまった。監督が辞めさせられたが、もともと問題の多い監督だと思っていたのでこちらは歓迎。ただ、田中の去就が定かでないのが気にかかる。大谷君のメジャー行はワクワクする。大谷って誰かに似ていると思っていたが、ぼくリリだと最近気づいた。先週日本は寒くて雨ばかりだったらしいが、その間パリもグラースも晴天で暖かく、パリはむしろ暑いくらいだった。それなのに朝晩の寒さで風邪気味となり喉を傷めたが、薬局で買った薬が効いてすぐ治った。おかげでフランス語の講演もしっかりと話すことが出来た。わりと皆さん集中して聞いてくれたように思うが、考えてみると集中して聞かないと理解できないだけの話だったかも知れない。家内を含め多くの人に暖かくもてなされて感激したが、去年コミッティーのメンバーになってくれと言われてOKして、今回はメンバーとして参加したつもりなのに、帰国してHPで確かめると私の名前だけメンバー紹介から抜けていた。パリでスーツと鞄を買い、良い買物をしたと喜んで空港で免税手続きをしたら、書類送付用の封筒を貰い忘れて無駄になってしまった。借りたアパートの鍵が開かなくなり、鍵屋を呼んでもらったら1600ユーロというとんでもない額を請求されて驚愕したが、結局その三分の一くらいで方がつき、しかも管理会社と大家が払うことになった。会社で原稿を書く仕事が雪だるまのように増えている。締切に追われる日々だが、物書きで生きて行けるなんて何と幸せな事か。10月6日にあべのハルカス美術館北斎展を観たことはすでに書いたが、パリで友人宅に行ったら数年前パリで開かれた北斎展の図録があって見てみると、大阪のよりもはるかに充実した出展だったことを知り微妙な気持ちになった。リュクサンブール美術館で肖像画を中心としたルーベンス展を見て久々に良いものを見たと感激していたら、グラースでの行事のひとつでカテドラルに行くとルーベンスが三点も飾られていた。そのカテドラルでのCorou de Verraというコーラスグループの澄みきった歌声に感動して、終わった後CDを一枚買って帰り、帰国して改めて聴くとやはり素晴らしいので、ケチらず他のも買っておけばよかったと思った。日本では中々手に入らないだろうし、アマゾンフランスにはあったが送料がかかるし。それにしても、古いニース地方の言語で古曲を復元している彼らの音楽は素晴らしく、ルーベンスの絵と相俟って、長らく続いたキリスト教毛嫌いも少し緩んで来たようである。そしてパリに戻ってから、中世キリスト教美術を見に久しぶりクリュニー美術館に入ったら、目当ての一角獣と貴婦人のタピスリーが出されていなかった。一喜一憂、凡夫の日々である。