勢い

 ニュージーランドが負けた試合を見ていて、流れというか勢いというものの怖さを改めて感じた。あっという間に最初のイングランドのトライを許した時点では、確かにフォワードの突進力の勢いに驚いてはいたものの、すぐに取り戻せると思っていたのだが、ニュージーランドは普段なら簡単に出来ていたことが悉くうまく行かなかった。同じことが南ア戦での日本にも言えるのだが、今までの試合で見せていた際だったプレーがほとんど途中で摘み取られてしまった。ニュージーランドに焦りの色と苛立ちが見え始め、うまく行かない時は何もかもがうまくいかないものだと思い知らされた。悔しいが、その思いのまま日本もニュージーランドも敗れ去った。一方の野球も、ヤンキースドジャースの敗退にそんな雰囲気が漂っていた。さらに、西武も巨人も、勢いの前になす術がなかった。勢いを作りだすのは究極的には実力が必要だが、どちらに転ぶか紙一重のところはある。ソフトバンクの強さは、何と言っても選手層の厚さ、特に反則ものの投手陣の質の高さによるものであることは確かで、もちろん各チームの財政事情にもよるが、CSや日本シリーズを勝ち抜くためのチーム編成を考えなくてはならないのではないかと思う。リーグ戦とはまた別の、選手層の厚さが短期決戦には絶対必要であることを、一時のリーグ戦優勝、CS敗退を繰り返していた悪夢の時期に、身に染みて痛感したのではないか。西武はFAで失った戦力をリーグ戦では補えたものの、短期決戦でコマ不足が露呈したのだろう。しかも、初戦を落として勢いに呑み込まれてしまった。それでも、もし西武が日本シリーズに進出したら、四連勝は無理にしても余裕で勝ち越せたのではないかと思う。正直、巨人はこれが優勝したチームかと思うほどの心細進出い戦力だったと思う。