クリスマスの大罪

 私は仏教徒なのでクリスマスに興味はない。それでも、世の中が騒ぐこのクリスマスというものの犯す大罪については触れておきたいと思う。

 先日WHOが全世界の子どもに向けて、サンタはコロナに免疫があるから高齢でも心配ないと発表したというニュースを見た。はっきり言うが、あからさまな嘘である。かなり悪質な虚偽と言っていい。そもそも、サンタなど存在しないのにいると言い張ることが嘘なのであるから、二重のウソ八百である。私が幼少のころに学んだことは、サンタクロースのことを始めとして、オトナは平気で嘘をつくということだ。それも、しっかりと口裏を合わせて嬉しそうにみんなで嘘をつくのである。そのことに気づくことは、子どもにとってサンタが本当はいないのではないかと思うよりも、もっともっと悲しく絶望的な出来事である。嘘をつくなと教えているオトナが率先して嘘をついている。それでも、多くの子どもは、サンタの存在を信じるふりでオトナの嘘に加担する悲しみをさらに味わうことになる。

 オトナは言うだろうか。子どもの夢を壊さないためのウソなのだと。夢のための嘘が許されるのなら、誇大妄想という一種の「夢」のために平気で嘘をつくトランプと同じではないか。世の中でこれほどまかり通って批判されることのない嘘も珍しい。世の中からすべて嘘がなくなって欲しいと思っているわけでも、そうあるべきだとも思っていないが、結果としてこの大掛かりな嘘で傷つく子どももいるということを、少しは理解すべきではないかと思うのである。