洗濯日和

五月十五日(日)晴。ずいぶん角張つた日付である。
早朝より起き出してほぼ終日洗濯・掃除。天気が良いと出掛けることよりまず掃除洗濯をしたくなる。特に此の季節、窓を開け放して空気を入れ替へながら普段は手の行き届かない場所まで掃除をするのは気持ちのいいものである。まだ湿気の高くならぬうちに、隅々の埃をなるべく取り除き、其の上で除湿シートの類を取替へる。狭い一軒家といふのはやはり湿気が溜まるもので、数年に渡つて思はぬところに黴が生えるといふことが続いた。流石に四年目ともなると防黴対策も分かつて来たので早めに手を打つのである。寒いうちは中々窓を開けて隅々まで掃除するといふことが難しかったので、気候の良いうちに雨の季節に備へて準備完了と行きたい。恐らく、隅や物陰に積もつた埃といふのは湿気を吸ふのではないだらうか。それが更に黴を繁殖させるのだらうと思ふ。すでに除湿機は留守中にタイマーを使つて毎日書斎、寝室、嶺庵、クローゼツトの順で動かしてゐる。
ところが午後一時半から四時半にかけて脳幹の痺れを伴ふやうな猛烈な睡魔が襲ひ、一番良い時間は眠つてしまふ。それでも朝夕は寒くも暑くもなくいい陽気で、シーツ、布団カバー、枕カバー等すべて洗つて気持ちよく乾いたからわたしは小さな幸せを感じるのである。夕方出掛ける前にふと目にした広告に導かれ、クリーニング屋とドラツグストに寄つた後港南台のインテリアの店に行き、ウヰリアム・モリスの生地の端切れを購ひて帰る。わたしは古代織や様々な文様の入つた織物の端切れが大好きで、龍村美術織物の敷布やら西陣織の端切れなど沢山持つてゐるのだが、見るとついつい買つてしまふのである。