横浜の本屋

十一月十五日(火)陰
定時に退社し横浜のルミネに行つて驚いた。久しく足を踏み入れてゐなかつたのだが、有鄰堂の場所が変はり売場が著しく縮小してしまつた。しかも文具売場もない。かつては横浜駅周辺では一番の品揃へを誇り、余も探求書があるとまずは此処に来たものだが、今や駅ビルにある凡庸な本屋に過ぎない。自分自身、新本はネツトで買ふことが多いので仕方がないことではあらうが、本屋といふものの行く末がだいぶ心細くなって来た。探しに行つた本も文具も見つからずに空しくエスカレーターで下に降りる序でに各階のテナントの変化を見るに、隔世の感あり。最初の妻と学生時代によく見た店もなく、十数年前に酒を飲んだ覚えのある地階のバーも洋品店になつてゐる。栄枯盛衰、ブランドや業態の流行り廃りの激しさと、思へば学生時分によく来た頃から数へれば三十年の星霜を経た事の感慨、なかなかに浅からぬものあり。其の後西口の高島屋で文具を購ひ、ジヨイナスの本屋に赴くとこちらも売場がかなり狭くなつてゐる。しかも今はビブロになつてゐるが前は違ふ本屋だつた気がする。それでも探してゐた新書があつたので購入し、七時前に八吉といふ居酒屋に往く。すでに会社の営業S氏の姿あり。遅れて同僚のN氏も到着。第二回馬鹿正直の会開催である。公私含め思ふところを正直に語り合ふのが趣旨にて、気の置けない仲間とはかういふ人たちを言ふのであらう。一時間少し過ぎてやつとN子が到着し、二人に紹介する。後は流れとして話題の中心は余のことになり、入社以来の爆笑エピソードの披露が続いた。十時半散会となり十一時過ぎ帰宅。ビール二杯と焼酎水割り二杯と大して呑みはしなかつたが、イサキの塩焼きが旨かつたこともあり、楽しい飲み会であつた。