宿酔

二月二十五日(土)雨後陰
深夜腹痛を覚えて目を覚ます。頭痛吐き気あり、明らかに飲み過ぎ也。結局正午まで眠り、食事の後再び眠り、二時より入浴など支度をなして三時過ぎ家を出で一如庵に向かふ。本来は其の前に書道博物館に赴くつもりなるも、左様の有様なれば止む。途中電車が止まり五時過ぎ道場に着くに、既に如覚在り。大和樂、布袋軒三谷の後松風を通しで三回吹く。だいぶ合奏らしくなるも、所々音の遅れやピツチの違ひを神先生より指摘され、間違ひやすい箇所を繰返し練習する。六時半前外に飲みに出ることになり、徒歩鶴巻町の松庵なる蕎麦屋に行く。松下てふ割に知られた料理屋の二階の静かな店にて、神先生のお好みなれば出される料理は実に旨し。鰤鎌、鮪ぬた、鶏、蕎麦等。余は熱燗一合に自重す。昨日の二人と同様、若き時より見知りたる人々と盃を片手に諸々のことどもを語り合ふことの、懐かしくもほつとする楽しさは矢張格別のものあり。九時に店を出で歩む途上、神先生より余の竹に長足の進歩ありとお褒めの言葉を頂戴す。有難く励みになるお言葉也。地下鉄早稲田駅入口にて袂を別ち、東京経由で帰宅。