最低

三月二十七日(水)雨後陰
突然すべてが嫌になり、何をする気力もなく時間が過ぎるのを苦々しく眺めるだけになる。世の中に面白いことなど何ひとつないと思え、今まで何をやってもうまく行かなかったし、つまらないことばかりの人生だったと絶望的な気持ちになる。こんなことが年に数回はある。今までにどれくらいの時間そういう状態で過ごしたか。恐らく赤子が小学生になるくらいの年月、こんな気分で過ごして来たような気がする。不如意、無気力、不愉快、自暴自棄。自分の思うようになったことなど、一度もなかった。
当然、本を読む気にもならないし、気分転換をしようという気さえ起らない。ずるずると落ちるところまで落ちるのを待つだけだ。無駄で無意味で不快な時間。それなのに、どこかで懐かしさのようなものを感じるのは、こうした状態で過ごした時間の長さによるものだろう。最低に馴染み過ぎた、最低の男というところか。無聊、肩の痛み、鬱陶しい天気、散りゆく桜、つまらない仕事…じっと耐えるしかない時間が続く。不才と無能を嘆く気にもならない。