中國絵畫、大雅、是眞

十一月十六日(土)晴
十一時より一如庵にて尺八稽古。晝過ぎ家人と夏目坂にて待ち合はせ中村屋にて親子丼を食したる後地下鐡にて上野に出る。徒歩東京国立博物館に赴く。まづ本館裏の庭園を一巡した後東洋館にて『特別展 上海博物館 中國絵畫の至寶』を観る。佳品多く、中國絵畫の奥深さを知る。特に南宋時代の「渓山圖卷」は作者不詳ながら煙霧の空氣感や細密な寫實において正に神品と稱すべき傑作也。更に王翬の「嵩山草堂圖軸」の清澄にして平遠なる山水も余の好む処也。圖録を購ふも、阡六百圓は廉価也。
本館に移り大雅の畫を多く観て樂しみ、国寶「観楓圖屏風」や長次郎の茶碗、さらに柴田是眞の「四季花鳥圖屏風」などを堪能しつつ、平成館で碑學派の書を見れば既に五時に近し。東洋館に戻り荷物を取りて徒歩鶯谷驛に到り、京浜東北線にて歸途に就く。素晴らしき美術品の數々を鑑賞出來た充實の一日であつた。