色々な出來事

六月十七日(水)陰
高臺にあるリゾート風露天風呂ないし温水プールである。水着にゴーグルを付けたわたしは皆を驚かさうと潜水を試みるが尻が浮かんで潜る事が出來ない。失笑を受けながら何度目かに深く潜ることに成功する。階段状に深くなつてゐて、相當な深さがある。わたしは底まで降りて其処で坐禅を組む。苦しくないのでかなり長い間坐つてゐたので、上ではそろそろ心配し始めてゐるのが分かる。やつと浮かび上がると、警備員がもつと淺い處で泳げと言ふ。仕方なく人の多い邉りを潜つて行くと鉛筆が落ちてゐて、中々良ささうなものなので其れを拾ふ。更に進むとポストイツトなどの文具がたくさん落ちてゐて其れも拾ふうち、其処がフレーバーの潜水艦の艦内であることに気づく。文具は「フレーバー」の備品であつたのだ。わたしはまづいかなと思つてゐると、職場のNさんも何か取りに來てゐて、フレーバーの人がノートに記帳すればいいと言ふのでほつとする。わたしは地上に出て、皆と一緒にバスに乘つて磯子まで行く。其処で解散となるが、見ると嘗て付き合つてゐた奈稲美がゐて、わたしに「ヨリを戻したいと思つてるんじやないの?」聞く。さういふつもりはなかつたのだが、奈稲美がタクシーに乘り込んだのに同乘してしまふ。彼女は其の儘都内の家に歸るらしい。中でわたしは奈稲美の手を握り氣のある素振りを見せる。タクシーだと思つてゐたのが自轉車で、運轉手が途中でトイレに立つてしまひ、後ろにわたしたちを乘せ自轉車がヨロヨロし始めると、通り掛りのおばさんが自動運轉にすればいいと言つて前輪部にあるネジを廻してくれる。其れでもいつの間にか道を逸れてしまふが、やつと戻つて來た運轉手が實は犬で、自動運轉装置を歯で解除した。其れを見てわたしは「器用なものだね」と言ふ。そして、最近ゴルフはしてゐるのかと聞くと、其処はすでにゴルフ場のテイーイング・グラウンドであつた。會社の人とゴルフに來たのである。第一ホールは八打だつたが、第二はパー4をバーデイ、第三はパー3をパーで上がる。途中自分のボールがわからなくなつて、高校の時の同級生からボールを貰つたりした。そして運命の四番ホールに來た。此処は打ち下ろしのパー3で、160ヤード打つイメージで打ち下ろせばグリーンに乘るといふ。わたしは5番アイアンで輕く打たうとしてボールをセツトするが、前に人がゐたりテイクバツクをするとクラブが人のクラブに當つたりで中々打てない。挙句にダフつて全く距離が出ずに崖下に落ちて行つた。次に打つのは令先生で、聞けば38度のウエツヂで打つと言ふ。流石はプロだと思ふ。見るとグリーンのエツヂに乘せてゐる。ところがわたしはこの後何を思つたか其の場で休憩を始めてしまふ。暫くしてやつと我に歸り、横の扉を開けて階段を降り、マンシヨンのエントランスのやうな處を通つて中に入るとホールで如道會の人たちが辨當を食べてゐる。わたしも勧められたがまづはボールを確認しようとフエアウエイに出た。すると、ボールはあつたが、ボールの側に置かれたわたしのキヤデイバツグを調べると中のクラブがごつそり無くなつてゐる。パターとウエツヂだけが横に轉がつてゐた。わたしは空でへなへなになつたキヤデイバツグを手にホールに戻り、神先生に「クラブを盗まれてしまひました」と言ふ。これでもう、二度とゴルフをやることはあるまいと思ひながら。