嫉妬

 

 同期のM野と喋っていて、話が転職したO嬢のことに及んだ。M野が言うには、O嬢は最近香の物ばかり食べているらしい。私が何故そんなことを知っているのかと追求すると、最近ちょくちょく会っているという。私は激しい嫉妬にかられて、なおも詳しく問い詰めた。すると、飲み会などに誘うかたちで、皆がよくO嬢と会っているというのだ。今は三度目の転職をしたばかりだという。お前も誘って会えばいいじゃないかと言われるが、私は会社を辞めたヤツとは会わないと強がるばかりである。それでいて、何としてもO嬢に会いたいと激しく悶々とする。その願いが通じたのか、何人かの同僚と一緒にO嬢と遊園地に向かって歩いている。ところが、その日は休園日で門が閉まっている。その門は幾何学模様の枠組で出来ていて、ところどころ大きな隙間があり、小柄なO嬢はその隙間から中に入って、中から鍵を開けて私たちを通してくれる。こんなことをして平気なのかと怪しむが、園内には他に行楽客もたくさんいて、問題なさそうである。私はO嬢に話しかけ、今回辞職してアメリカに留学に行くという彼女に、行く前に是非会ってくれと懇願する。そして、彼女の両肩に軽く手をかけた。すると、O嬢は私が彼女に決して触らないと言っていたのに、と私を非難する。私は漬物ばかり食べていると聞いていたので、痩せたかどうか確かめたかっただけ、と苦しい言い訳をする。そして、指の先にセンサーのような針が出ているのを指し、また手にビスや螺子釘を握っているのを見せて、「業者かよ」と言って皆を笑わせる。それでいて、O嬢がふたりで会ってくれることはもはやないことを悟って絶望しているのである。