怒り心頭

 

 午後松岡正剛さんに会いに赤堤に行く。原稿の依頼方々の挨拶だが、一時間いろいろな話をする。十文字美信さんに撮り下ろして貰った香道具のカレンダーを持参して感想を聞きながらいろいろ話をしたかったのに、豪徳寺の駅で待ち合わせた広報のМが、何と電車の中に忘れて来たという。前から教養も品もない、単なるミーハーなおばはんだとは思っていたが、ここまで抜けているとは思わず。折角、十文字先生の写真を見ながら松岡さんといろいろ話をしたかったのに、この馬鹿女のためにそれも叶わず。怒り心頭である。そもそも、写真を撮ってもらうまで十文字さんのことも碌に知らず、松岡さんの凄さすらきちんと理解していない程度の低能なのだが、私が午前別の用事で外出していたため、持ってくるよう頼んだことをひどく後悔した。ガキの使いすら出来ない人間とは。刷り上がったばかりの時期に面談を設定し、いの一番にお見せして感想を聞きたいという私の思いは、阿呆なおばさんの不注意で叶わなかったのである。それでも、松岡さんとの一時間、黙っていればいいものを、無知でミーハー丸出しの発言までするのだから呆れ果てる。そもそも本楼に入れるレベルの人間ではないのだ。せっかく松岡さんに久しぶりに会えたというのに、この女の存在で実に嫌な気分にさせられた。松岡さんの話は相変わらず刺激に富んで面白かっただけに、汚点を残した一日であった。