日々の暮らし

 歳をとったせいもあるが、在宅勤務とマスクの常用によって着るものに金を使う気がすっかり失せた。恰好つける必要もないし、家にいるから楽な格好でいるのが一番である。これでは女性の化粧品が売れなくなるわけである。外食もせず飲みにも行かないから小遣いも使わず、そのためついつい本を買ってしまう。それと、光熱費が嵩みはするのだが、それはもう節約する気はあまりなく、とにかく暖かく快適に過ごしたいという思いが強い。洋服など買わなくていいから寒い思いをしたくないのである。トイレにもヒーターを入れたし、書斎の椅子にはホットマットにクッションを敷き、机の下の足もとにはパネルヒーター、部屋全体はエアコンの暖房を入れているので快適である。唯一書斎には加湿器がないのでやや乾燥するが、本が多いので加湿はしたくないので仕方がない。

 その一方で、前ほど寒さを感じなくなったような気もする。脂肪がついたせいだろうか、朝新聞を買いに散歩がてら歩いても寒いと思うどころか帰り着く頃には汗をかいている。夜中も肩に小ぶりの毛布をマントのように羽織って、オイルヒーターをつけたまま眠るのでさほど寒さを感じない。会社に行くときも、時差出勤で8時半過ぎに家を出るからということもあるだろうが、今年はまだ泣きたくなるほどの寒さを感じないで済んでいる。寒いのが苦手なのと野球がやっていなくて寂しいので、わたしは冬が本当に嫌いなのである。それでも、外に出ることが減り、飲んで終電近くの極寒の時間帯に駅から急いで歩いて帰ってくることもなくなったから、昔ほど辛い思いはしなくなっている。この先給料はどんどん減っていくが、贅沢はできないまでも今のように暖かく暮らすための光熱費が払えるのだろうか。それだけが老後の心配である。