竹花茶

十月十五日(土)雨後陰
雨の中ホテルからタクシーで戸山町の一如庵に行き、改めてN子を神先生に紹介し庵内の美術品を案内して頂く。床の間には大雅の画と平安初期と思しき天部の立像。其の他の場所に掛けられたミロ、ゴーギヤン、レンブラント、ルドンなどを見る。リトグラフやエツチングの小品中心とは言へ皆本物である。十時より稽古。N子は隣室にて待つ。十一時過ぎに辞す頃にはよい按排に雨が上がつてゐた。早稲田駅から地下鉄で飯田橋に行き、再び神楽坂界隈を散策。九頭竜蕎麦にて昼食をとり樂山で焙じ茶を購ふ。履物の助六を覗くに良い品揃へなるも浅草辻屋よりやや高いやうであつた。飯田橋から東西線日本橋に移り、高島屋日本橋店にて日本生け花芸術展を見る。凄まじい人の数にてハナを見に行つたのかババアを見に行つたのかわからぬ程なり。各流派からの出展なれば競ふ意図もあつてか派手さや奇抜さはあるものの、それ程感心すべき花に出会はず。花といふより寧ろ盆栽に近き松の生けた姿などに風情を感ず。それにしても我が清源流はかうした巨大流派とは一線を画して進むべき事を悟る。暑さもあり二日続けての着物の疲れもあり、一度N子の家に戻つて休んでから、夕刻になりて成瀬のN子の実家に移動。夕食前に岳母より茶の稽古を受く。初めて柄杓を使つた点前の稽古にて中々面白きものなり。夕餉をN子の父母と四人で取りたる後二子新地に戻り就寝十二時。