室町への関心

五月二十三日(木)陰
村井康彦著『武家文化と同朋衆-生活文化論』(三一書房刊)讀了。松岡先生の「千夜千冊」でも採り上げられられた本である。古本でも高いので横濱市の圖書館で借りて讀んだものである。茶、花、能の歴史や同朋衆についての理解を深める。室町文化に對する興味が最近高まつてゐたこともあり面白く讀んだ。室町幕府の位置づけや足利将軍家の権力基盤については余が日本史で學んだ頃とは異なる見解が主流を占めるやうになつたらしいが、単に北山文化とか東山文化とかと割り切つて事足れりとしては理解し損なふ側面があるやうだ。義満や義政よりも、余にとりては籤引きで将軍になつた義教に目が行く。北宋徽宗帝といふのは義教と義満・義政を足したやうな存在であつたのではないか。彼我のスケールの違ひといつてしまへばそれきりだが、血の通はぬ源氏の将軍たちや、凡庸さの際立つ徳川将軍たちと比べると、足利の将軍たちは人間くさい面白さがあるやうに思ふ。