2017-01-01から1年間の記事一覧

呉式

六月二十五日(日)雨後陰 外房の海は雨に煙っていた。五十六度目の誕生日を私は千葉の千倉で迎えた。M倶楽部の例會が昨日から行われていた為である。今回は太極拳の沈師今井師を迎え、体を動かすセッションが多かったが、いつもながら多くの刺激を得た二日間…

共謀罪

六月二十一日(水)雨 東京オリンピックのテロ對策のために共謀罪成立を強行したやうな口振りだが、そんな事ならそもそもオリンピックなど招致しない方が良かつたと思ふ。リスクを減らし國民を危険から守るのが政府の仕事であるのなら、テロの可能性の高まる催…

寺酒寺

六月十八日(日)陰後晴 朝和歌山駅から電車で二駅、紀三井寺で降り、その名の寺を参詣。かなり急な坂を登って本堂前に辿り着く。想像していたよりこじんまりとした寺なれど、落ち着いた雰囲気で特に和歌の浦を望む眺めは素晴らしい。帰りは正規のルートで階段…

城巡り

六月十七日(土)晴 朝八時前家を出で新横浜から新幹線、新大阪にて特急くろしおに乗り換え和歌山に至る。旅宿に荷を預け、銀平にて昼食の後バスにて市役所前へ。紅葉渓庭園を歩み御橋経由で郭内に入る。本丸御殿跡を望んだ後天守閣前の休憩所で天守閣を眺めな…

マイクロ

六月十五日(木)晴 先週木曜に引き続き、朝から本郷に出掛け東大経済学図書館に行く。終日マイクロフィルムを閲覧するためである。日産化学の社長から、戦時中化学工業統制会の会長となり、戦後経団連の初代会長となった石川一郎という人が残した膨大な史料を…

紫陽花

六月十四日(水)陰後晴 あぢさゐの季節になつた。朝晩の通勤に通ふ川沿ひの道にも、今朝立ち寄つた圖書館の植込みにもあぢさゐの花がほぼ満開である。余はよくある群青から紫紺の紫陽花や愕紫陽花があまり好きではない。見飽きたといふこともあるが、今日のや…

三冊の本

六月十二日(月)晴 駅を降りたところで橋本さんに出会い、ともに学校までの道を歩く。橋本さんが「あれは読んだかね」と聞くので、そう言えば彼誰同人で前回会った際に同人の推薦する三冊の本を読んだ上でどれが一番面白いか決めるという宿題があったことを思…

誤記誤解

六月十日(土)晴 「官邸の最高レベル」ということばが世上喧しいが、実際は「官邸は最低レベル」の方が正しい認識ではないかと思う。何せ自由民主党という、名前からして詐欺罪で訴えられそうな名前の党の主が首相なのである。こちらは不自由我慢党だというの…

饒舌

六月九日(金)晴 ふだん会社では廊下で会った人に挨拶するくらいで、個室に籠ってほとんど口を聞かないのだが、今日はずいぶん人と話をした。昼は珍しく同期のMと食事に出て、奴も年史に興味があるのでいろいろ話したし、午後研究所への移動の電車ではたまた…

法事の寺

六月朔日(木)晴 京都の街を歩いている。裸足なので神社の境内やじゃり道は痛くてたまらず、アスファルトの道を歩くようにしている。連れにはこの痛みがわからず、私は地下足袋を買うことを決意、いつの間にか錦小路通りに入る。途中テント張りの無料休憩所の…

出産演技

五月二十八日(日)晴 テレビ局のテーマパークのような所である。入口を入るとすぐにフィールドアスレチックのようになっていて、池の上に浮いた板を飛び移ったり、縄を伝わって谷を越えなければならない。途中何人もの人が水の中に落ちて行く。スーツに革靴の…

夏風邪

五月二十六日(木)雨後陰 風邪をひいた。電車の冷房にやられたのである。通勤に使う電車はまだ本格的な暑さとなった訳でもないのに全開で、乗車時間が長くて寝てしまう私には寒すぎる。弱冷房車に乗ればいいのだが、大変混んでいて座れないので敬遠しがちであ…

様々な動物

五月二十三日(火)晴 川を背にした家が並んでいる。私は川を渡ろうとして家と家の間の狭い路地を抜けると川岸には高いフェンスがあり、しかも上には斜めに鉄条網が張られていて越せそうにない。それでもフェンスによじ登ろうとしたところに妹が鍵を持って現れ…

妻妾同居

五月二十一日(日)晴 川向うの件で疑いを持たれた私は組の者から狙われている。私は用心をして家を出ない。街中のマンションの二階に妻と愛人と一緒に住んでいるのだが、二人の女性は仲がいいので助かっている。二人とも私を助けようと献身的なのだが、少々抜…

破れ傘

五月二十日(土)晴 社長の車に同乗させて貰って会社に戻る。一度自分の机に戻ってから社長室のあるフロアーに行くと、旧役員を含め現役の役員や部長クラスが勢揃いしている。なるほどこうまでしてご機嫌伺いをして昇進を陳情するものなのかと思い、今さらなが…

ペシミスティック・ジャパン

五月十五日(月)陰 人生の敗者として日々の憂愁はいよいよ深さを増して来た。何に対しても興味を持ち得ぬ時間が続き、自分の身体や頭の中が空洞化していくような感覚がある。未来に希望はなく、振り返れば後悔ばかりである。心は固く閉ざされ、笑うことも滅多…

嘗ての関心

五月十三日(土)雨 かつて自分が興味を持ったり憧れたり、或いは特別な愛好心を持ち、それらに関する本や関連する諸々のモノも買い、考えたり実践していたものの、今では全く興味を失ってしまったもの、こと、テーマのリスト。惜別ながらサヨウナラ。 生命倫…

発見

五月十二日(金)晴 本を捨て始めて気づいたのは、世界の全てを知ろうとしていたのだろうと思える程に書物のテーマが幅広いことと、それらの多くの主題にいまや自分が全く興味を持っていないということである。要するに、さっさと捨てても何ら問題はなかったこ…

処分

五月十一日(木)晴 竟に蔵書の処分を始めることにした。少なくとも一日一冊捨てて行く。これだけで五年で1800冊以上は減る。その他に売れそうなものは売り、所有すべき友人がある場合は寄贈しようと思っている。理想は還暦とともに無一物になることだ。置物と…

連休

五月七日(日)晴 長い連休であった。前半は都内の庭園に出掛けたり広島、呉、江田島などを訪ねたりしたのだが、後半無為に過ごすうちに忘れてしまった。何だか嫌な気分だけが残る連休であった。

課題

四月二十八日(金)晴 以下が現在私が調査研究中のテーマである。社史執筆に絡んだものが多いが、そこから大きく逸脱して自分の興味関心で調べているものもある。 軍管理監督工場の実態と準拠する法令 香料関係各種統制会、工業組合等の実態 化学工業統制会と…

ウランとホームラン

四月二十七日(木)雨後陰 オットー・ハ-ン自伝読了。化学者として毒ガスの父ハーバーとともに第一次世界大戦では毒ガスの開発をし、さらにそれを使った実戦にも参加、時に防毒マスクの効果実験では毒にやられて入院したこともある。さらに放射性元素の研究か…

事実誤認

四月二十四日(月)晴 大学教授であり評論家でもあるJ先生が、あるマスコミの一団を名指しで批判した。低調で愚劣、おまけに欺瞞だらけと言うのである。批判された連中はJ先生の粗を探すのに躍起となり、とうとうJ先生が昔書いた文章の中で戦時中の早大での空…

イメチェン

四月二十三日(日)晴 パリのペリフェリック(環状道路)の先に出て、郊外に向かって歩きはじめた。というより、最初はローラーのついた事務用の椅子に座ったまま進んでいたのだが、さすがにまずいと思い椅子を押しながら歩くことにした。そうして歩きはじめると…

戦場と老兵

四月二十二日(土)陰 大きなビルの最上階に居る。停電なのか燈火統制中なのか真っ暗闇である。雷鳴がして稲妻が凄まじい。これは危ないと思っていると雷がいつの間にか砲撃となり、私は必死で物陰に隠れる。時々雷や爆裂で明るくなると、どうやらそこは橋本先…

逝く春

四月十九日(水)晴時々陰 葉桜に花の散る春の盛りはあつといふ間に過ぎ、暑さを傳へるニュースが喧しい。月曜のやうな曇つて風の暖かい晝休みなどほんの少し春らしさを感じたものの、春や秋の抜けた季節感はもの哀しさを覚えずにはゐられない。 今は戦時中の…

卯月初旬

四月十日(月)晴 晴れ空の下に満開の桜を見ることなく春が過ぎて行きそうである。それでも、家の近くのいたち川沿いの桜は朝晩の往き帰りに眺め、昨日は七沢温泉にて桜を見ながら露天風呂に浸かった。今日の昼には蒲田の吞川沿いの桜を見て歩いた。それにして…

雑記

三月晦日(金)陰後雨 先日の樂茶碗の展覧会で図録とともに買った絵葉書を整理していたら、同じ茶碗のものを既に二枚持っていることが判明した。京都の樂美術館に行った際、それぞれ別の機会に購入していたのを忘れて、また買ってしまったのである。光悦の「…

文と樂

三月二十八日(火)晴後陰後雨 新宿湘南ラインで恵比寿に出で徒歩東京都寫眞美術館に到る。十時開館前に既に長蛇の列あり。明らかに老人多く目當ては同じと知る。十時二十分から上映される映畫『冥途の飛脚』の入場券及び席の指定の列である。上映するホール…

夏目坂から嵯峨棗

三月二十五日(土)陰 十一時より一如庵にて尺八稽古。其の際先生より六本木の倫敦ギャラリーにて嵯峨棗の展示があるから店主に紹介がてら一緒に行かないかとの話があつた。本來此の日は家人と近代美術館の樂家の茶碗を見に行くつもりなるも、勿論快諾して、…