2017-01-01から1年間の記事一覧

残余

十月二十九日(日)雨 ビルの屋上の金網のフェンスを越えて通常入ってはいけないエリアで体操をした。それから再びフェンスを越え、階段を走って降りるとき途中で足を払われた。つまずきそうになって振り返ると大柄な女子高生が立っている。手にスマートフォン…

冬支度

十月二十八日(土)雨 昼過ぎまで寝る。時差ボケによって生じた睡眠負債のせいである。それでも頭が重く、腰が痛む。朝食として残されていた握り飯を食べ、それから旅行の荷物の整理と洋服の夏物と冬物の入れ替え、ストーブやヒーター類を出して除湿機をしまう…

悲喜こもごも

十月二十七日(金)晴 清宮君が日ハムになったのは本当に良かった。巨人にならなくて本当に良かった。中村君の広島もよかった。それなのに自民党に投票する有権者が48%もいることに絶望する。安倍でいいと本当に思っているのだとしたら、驚くべきことである。…

マララゴルジュ

十月十八日(水)晴 朝ジャベルの駅まで歩きRERでヴェルサイユ・リヴゴーシュに行く。徒歩宮殿に赴く。家人が行ったことがないというので久しぶりに行くことにしたものである。入場券を買うのに長蛇の列と驚かされてネットで購入して行ったら、それ程並んでい…

転勤その2

十月九日(月)晴 海外から戻って営業部長に就いたSという男のことを弾劾する人々がいて、Sが如何に上にばかり媚び諂い、下を軽んじ雑に扱っているかを喧伝している。私もSが大嫌いで彼らの言う通りであるし、そもそもあんな奴が営業部長で大丈夫なのかとい…

京都嫌ひ

十月八日(日)晴 大徳寺曝凉展に行く。牧谿の水墨画、大燈國師の書など見るべきものあり。 京都はとにかく人が多くて住民觀光客を問はず傍若無人の振る舞ひが東京にくらべても多く、街を歩いてゐても何だか落ち着かない。ホテルは馬鹿馬鹿しい程高くなり、ど…

北斎

十月六日(金)雨 あべのハルカス美術館にて北斎展を観る。開催初日である。このところテレビジョン等で北斎が何かと騒がれていて、それらをたまたま目にした結果今まで知らずにいた北斎の凄さに気づかされた口なので偉そうなことは言えないが、確かに凄い。多…

悲惨な国

九月二十五日(月)晴後陰 テレビで安倍が出て来るとチャンネルを変える。あの声を聞くだけで反吐が出るのである。狂人に近い指導者を選んだり、頭のおかしい独裁者が君臨している国も悲惨だが、あんな誠実さのかけらもない右翼の首相がこんなにも長く政権を持…

転勤

九月二十四日(日) モスクワに転勤になった。出勤すると会社にはオランダ人でアメリカ時代の上司だったD氏がいて握手をする。すぐに皆で昼食に出ることになるが、皆九月だというのにコートを着ていて、薄い上着で来た私は今年はきちんと防寒のできるコートを…

嫌いなもの

八月十六日(水)雨 先日、会社でライフプランセミナーなるものを受講した。要するに、定年後の老後に備え、お金の心配をしておきなさいということである。もうそんな歳になったのかと思えば転た悄然とせざるを得ないが、逆にもっと早くにこういうことを聞いて…

雑感

八月十三日(日)陰 この時期、お盆と呼ばれ東京の人口が減る。つくづく、東京は田舎者の集合場所なのだと思う。東京生まれにとってお盆は七月なので、八月中旬に親族で集まったり、田舎に帰って同窓生と会ったりといったことはしたことがない。親の実家も都内…

隠し玉

八月十二日(土)陰後晴 交差点の道路の上にベンチがある。そこを待ち合せの場所にしたので、私は野球の硬球に約束の日時と相手のYの名前を書いて袋に入れ、口紐を結んでベンチの支柱に結わいつける。しかし、これでは誰かに持ち去られる恐れがあるので、ベン…

観戦記

八月十一日(金)陰時々雨 終日高校野球観戦。此れ程面白いカードが続く日はそうそうはない。春夏連覇を遂げた学校が四校も出ている他古豪や新鋭強豪校揃いで、颱風で一日ずれて今日になったが、最初の予定では10日だったので、会社を休もうと思っていたくらい…

独逸と仏蘭西

八月七日(月)晴 ドイツの産業遺跡や戦争遺跡を廻っている。車に乗り、運転手とガイドはドイツ人である。巨大な工場や溶鉱炉、ビルや要塞を見て周る。ビルの壁面から砲身が延び、高射砲がそのままになっているところもあった。途中、道路にバスが停めてあって…

ビルの息子

八月五日(土)晴 家の近くに高校が越して来た。新学期から私はそこに通うことになった。お祭りをやっている人が多いと聞いて、学校を休んででもお祭りに参加する人もいるのかなと思う。近いので安心していたら始業の日に遅刻して登校すると、校舎は古いものの…

香りの器

七月三十日(日)陰 静嘉堂文庫に赴き「珠玉の香合香炉」展を観る。佳品多く楽しむを得る。香合は小さきもの多く、蓋し収集に最適のものならん。香を容れる実用より、飾り物・置物として愛玩の対象たりしこと歴然也。香道具の展示もあり、また曜変天目も公開さ…

寒中症

七月二十九日(土)晴後雨 わたしの場合、熱中症よりは寒中症にかかりやすい。正確に言えば寒中熱中症とでも言うべきもので、冷房の効いた部屋で集中(熱中)して読み書きをするうちに体が冷え切ってしまい、お腹をこわし寒気をおぼえる、というものだ。ひと夏に…

八犬伝

七月二十七日(木)陰 日々暇を偸盗(ぬす)んでは読み継ぐものから、はや三巻に到りぬ。話は佳境に入りて、八犬士中六人(ろくたり)までがすがたを顕(あら)わし、筋の縺(もつ)れに因果の錯綜、読み進むごとに引き寄せられ、興趣は尽きず、時間は足りず、もどかし…

文藝

七月十七日(月)晴 先週から南総里見八犬伝を読み始めた。M倶楽部で安房の国に行った縁もあり、思い立って読むことにしたのである。小学生の頃ダイジェスト版のようなものを読んだきりで、きちんと読んでいなかった。今回は岩波文庫である。先年同じ岩波文庫…

きれぎれの記憶

七月十四日(金)晴 家が二箇所に分かれていて、2 ・300メートルあるその間をしょっちゅう行き来している。一方の家には母がきれいな日本髪に結って着物を着てすまして座っている。二階の私の部屋には娘のアキノが教科書や菓子などを机の上に置きっぱなしにし…

黎明期における日本の香料産業【第三回】

七月十二日(水)晴 4. 日本の天然香料すでに述べたように、石鹸の賦香などで需要の生じた天然香料を国内で生産する動きも明治期にはありました。明治年間に製造された天然香料としては、芳樟油、桂皮油、橙皮油、纈草根(セイヨウカノコソウの根)油、菖蒲根油…

黎明期における日本の香料産業【第二回】

七月十一日(火)晴 2. 香料と関税 幕末に始まる海外との交易は日本に西洋の香水や香粧品をもたらしましたが、それはちょうど、今見てきたような合成香料の勃興期に当るわけです。石鹸や化粧品といった製品に接し、それまでの日本にはないそうした西洋の香りに…

近代と映畫

七月十日(月)晴 子安宣邦著『「近代の超克」とは何か』読了。この本を読み始めた動機である、「近代の超克」という問題についてのおおよその理解は得られた。今まで何となく知っているようなつもりでいたが、丸で分かっていなかったこともよく分かった。それ…

黎明期における日本の香料産業 【第一回】

はじめに今日一般に化粧品や香水などの香粧品、あるいはシャンプーや石鹸などのトイレタリー製品に使われる香料は、多くの香料原料が混ざり合わされた調合香料と呼ばれるものです。その調合香料の原料としての香料は、天然の植物由来の天然香料と、化学合成…

鰐の池

七月八日(土)晴 居酒屋に入ると朝からおじさんたちが酒を飲んでいた。大事な話があった気がするのだが忘れてしまい、私はハーブティーを註文する。待つ間にトイレに立つ。入ると板敷きに穴が開いているだけの原始的なトイレである。しかも穴から下を見るとそ…

君たち女の子

七月七日(金)晴 私の今の職場はやや広い会議室のような部屋の一角に仕切られた「半」個室である。半の意味は、天井までパーティションはあるものの、上部が一部明かり取りのように空いているところがあり、ガラスが嵌められているわけではないので音が筒抜け…

ほとんどの日本人

七月六日(木)晴 今、子安宣邦著『「近代の超克」とは何か』(青土社)を読んでいる。子安には『漢字論』を読んで以来注目していて、最近も『「大正」を読み直す』によって、大逆事件の意味や津田左右吉のラディカルさを教えられたり、吉野作造や河上肇の凡庸さ…

平凡の強さ

七月五日(水)晴 小熊英二著『生きて帰ってきた男』読了。平凡なひとりの男の、平凡ではない一生。シベリア抑留や結核、戦後の苦難を生きてきた著書の父親のすがたを、「もの書く種族」ではないごく普通の庶民が時代の空気をどのように感じていたかを含めて描…

真宗

七月二日(日)陰 井上鋭夫著『本願寺』読了。本願寺の坊官下間(しもつま)家のことを調べていて浄土真宗や本願寺に改めて興味を持ち、まずは概要を知ろうと思い立って読み始めたのだが、予想外に読みごたえがあった。名著と言うべきだろう。そこで、千夜千冊で…

呆れてものを言ふ

六月二十六日(月)陰後晴 たとへば教室で生徒全員の総意で誕生日を迎えた先生に食べてもらはうと菓子を持つて來たとする。もちろん均等にお金を出し合つて買つたものである。それをひとりの生徒が勝手に食べてしまひ、それを皆に批難されると、裕福な家に生ま…