乞子漫筆

フランス料理

人を招いての会食を考えていて、店を探す中で昨日鎌倉のフランス料理店に行った。家内が何度か行って美味しかったというので、ほぼその店にするつもりで、一応味見と下見を兼ねて昼に食べに行ったのである。鎌倉駅から歩いて25分ほど離れた道に面したその店…

記憶の町並み

土曜に街歩きをした。ブラタモリならぬ「ブラた××」の第五回で、今回は女の子三人、野郎二名の五人で三田から麻布界隈を歩いた。慶應女子もいたので義塾三田キャンから綱坂を昇り、三井倶楽部前で記念写真の後神明坂を下って中之橋で古川を渡り、狸穴に入っ…

疲離嫌

守破離ならぬ疲離嫌である。言うまでもなく「和」の事である。音曲、書、絵画、茶、花、香、食、酒、着物、住、骨董、詩歌その他諸々、ここ十年くらいずっと「和」を好み、実践して来た。ところが、令和になったからという訳ではないにせよ、ここに来て和に…

依怙地の一徹

こどもの頃から依怙地で損ばかりしてゐる。三歳で民宿の二階から階段を転がり落ちたのを宿の人が上手く抱き取つて呉れたのが氣に入らず、直ぐに階段を昇つて落ち直して大人たちを唖然とさせたといふ。五歳になつて錢湯の歸りに夜店で賈つて貰つたおでんのつ…

悲しい現實

會社での事である。海外の重要顧客の重要人物が數名來日して會社を訪ねるといふので、前代未聞のもてなしをするため普段會議などに使ふ部屋を特別な室禮に誂へた。仮設の和室を設け、野点傘に紅白の幕、白い石を敷き詰めて前後に大ぶりな漫開の櫻を二本置き…

新元号に思ふ

新しい元号が決まつたさうだ。令和といふらしい。笑ふべき無知蒙昧の國粋主義が生んだ、何とも言へぬ珍奇な代物である。元号といふもの、それに使はれる漢字、そして其の典拠となる古典を含め、すべて中華文明からの影響を免れる譯はないのに、國風を利かせ…

バブルの総括

岸宣仁著『賢人たちの誤算―検証バブル経済』を何日か前に読み終えた。社史の執筆で80年代後半から90年代に至り、自分が入社した後の時代となり、あらためてあの頃のことを詳しく知りたいと思いあれこれ読んでいる。中でも『日本経済の記録』第一巻はニクソン…

就活

雪の舞う土曜、某化学系の学会が主催する、理系学生向け就職関連のイベントにパネリストとして参加した。30分ばかり会社の研究開発体制などについて話をして、次に演者6人が壇上に座って学生からの質問に答え、さらに会場を移して、各演者が散らばって、関心…

奇跡

1986年から1990年にかけてパリに駐在し、帰国後も1994年頃までテレビジョンセットを買わなかったので、その頃の番組やコマーシャルをほとんど知らない。今日英語の勉強であなたチューブを見ていて、たまたまその頃に流れていたポカリスエツトのコマーシャル…

サード

家内とクイーンの話をしていて、本田美奈子がブライアンに曲を作って貰ったことに話が及んだ。わたしが、生きていれば三原順子のような変なおばさんにならずに、きっと素敵な女性になっただろうと言った。若くして亡くなった芸能人にはすごい人が多かった、…

サッカーと相撲

一月十五日(火)陰後雨 ワインを飲むようになって思うのは、ワインというのは世界中で作られ、それぞれに特徴や長所があるということだ。世界規模の酒であり、産地にも多様性がある。これはスポーツで言えばサッカーなのである。それに比べればウィスキーで…

おそロシア

十二月二十一日(金)晴 佐藤氏の影響もあって、わたしの中でロシアに対する関心が高まっている。もともとロシア文学には興味があり、大学時代も水野忠夫先生のロシア文学史の授業を面白く聞いていて、それをきっかけにロシア・フォルマリズムやブルガーコフを…

無形文化遺産

十一月二十九日(木)陰後雨 ユネスコの無形文化遺産にグラースの香水をめぐるノウハウが登録されることに決まった。登録に至る活動にほんの少し関わった身としてとても嬉しく、関係者に心よりお祝いのことばを送りたい。ルルーさん、ベダールさん、おめでとう…

信じない

十一月二十五日(日)晴 その後佐藤優氏の著作は『自壊する帝国』『官僚の掟』と進んで、今は『甦るロシア帝国』を読んでいる。その間佐藤氏が獄中で読んで面白いと言った、ヘーゲルの『歴史哲学講義』の上巻を読み終えた。どれも面白いが、やはり読めば読む…

キリスト教

十一月七日(水)陰 佐藤優『獄中記』を間もなく読み終える。面白い。「事件」と「獄中」に関する記述も面白いが、読んだ本や哲学・神学に関する話がとても興味深い。出てくる本を読んでみたくなるし、哲学や思想に関するコメントで、なるほどと思うところが多…

何も覚えていない

十一月六日(火)陰後雨 昔から記憶力の良い方ではなかったが、最近とみに自分が何も覚えていないことに驚き、心底がっかりしている。読んだ本の内容など三日と覚えていない。読んだことすら覚えていない。見た映画の筋や設定さえ、ほとんど思い出せない。見た…

会社

十月十九日(金) 会社というのは夢や希望をもって働くと必ず挫折し絶望させられるものなのだろうか。自分の利益だけを考え、唯々諾々と上司の意向に沿った言動の出来る者だけが社内的に上位に就くから、会社を良くしようとしてなされる提案も額面通りに受け…

變な聲

十月十日(水)晴後陰 社史の執筆をしてゐると、當然のことながら分からないことが多く出て來る。このことなら多分此の人が詳しいだらうと思ひ當る人がある場合には電話をして聞くことも多い。OB會の名簿を持つてゐるから電話できるのである。奥さんがまづ出る…

おふざけ

十月五日(金)陰後雨 ふざけるなよ ーふざけてないよ ふざけてるよ ーふざけてません ふざけろ ーじゃあふざけます ふざけんじゃない ーじゃあふざけない ふざけやがって ーだからふざけてないって ふざけてると、ぶっ飛ばすぞ!

日本の惨状

九月二十一日(金)雨 いけ好かない長州人がしたり顔で憲法を変えるという。この男、歴代の日本の首相の中でわたしが最も嫌いな人間である。とは言え、この男のやっていることは、今の日本でよくある話のひとつに過ぎない。それは何かというと、何の問題も起き…

スポーツと暴力

九月三日(月) 落合博満さんが中日の監督時代にチームから暴力を一掃するのに五年かかったという話をした旨の報道に接して、改めてこの稀代のプレーヤーの、ぶれのない言動に感服した。それにつけても世間的には暴力奨励派の最右翼だった星野仙一の人気が高…

和疲れ

八月九日(木)陰 このごろの自分を振り返ると、これは和疲れではないかと思えて来た。思えば、2009年に失脚と離婚が重なって精神的な危機を迎えた時、縋ったのが和のものであった。鎌倉の禅寺に坐禅に通い、書道を再開し、香道を習いはじめ、尺八を再び習いは…

嫌いなひと

八月六日(月)陰 気どった人、嘘つき、自分を善人だと思っている人、自分は正しいと信じている人。 前ふたつはかつての自分。後ふたつは自分とは金輪際無縁。 思考停止の人々その2. よくある話ではあるが、義妹に聞いた話。コンビニで週刊誌を買うのにレジに…

ジャズとワイン

八月三日(金)晴 表参道のエチカで家内と待ち合わせで白ワインを飲んでいた。最近はもっぱら白ワインで、ビールすら飲む気にならない。日本酒なんて考えただけで気持ち悪くなる。さて、座った席は地下鉄の改札に降りる階段に面したところにあり、ガラス張りな…

八月

八月朔日(水)晴 早くも八月である。この前七月になって、今年も半分終わってしまったと驚いていたら、あっという間に八月になった。歳をとるとともに月日の経つのが加速度的に早く感じられるのは、おとなになると子どもの頃のようなときめきがなくなるからだ…

ぎりぎりの脱線

七月二十三日(月)晴 社史を書いていると、会社の動きを叙述する中で当然世の中の動きや出来事との連動を説明する必要が出て来る。多くの場合、そうした出来事の詳細や背景は簡単に触れるだけで、それぞれ所与のものとして扱われる。わたしはそれが嫌で、とい…

偽ニュース

五月二十五日(金)晴 加計学園が日大の傘下に 日大広報部は24日付で、加計学園を日大が吸収合併することを発表した。両学校法人はマスコミ取材に対する技法を互いに高く評価し、また共鳴するところがあったことから、今回の合併になったものとのこと。ただし…

学校楽しい?

五月七日(月)陰後雨 連休中に知人一家と食事をした。今年小学校にあがったばかりの坊やがいて、人なつこくて可愛いのだが、私は「学校はどう、楽しい?」とは聞かなかった。自分が一年生のころ、親戚や誰とも知らぬ大人たちからそう聞かれる度に嫌な思いをし…

驚き

五月五日(土)晴 イチローの特別補佐就任には驚いた。ここ数年不遇というより他ない起用のされ方が続き、実際に成績も残せない中ではあったが、寂しい限りである。それでも常に野球と正面から向き合い前向きに練習を重ね、決して腐らず独特の哲学・美学を貫く…

らいおんず

四月廿日(金)晴 西武が強いと野球は面白い。久しぶりにそのことを痛感させられるここ数日である。8-0からの大逆転劇も、今日の3-0或いは5-3からの逆点勝利も、わたしはしっかりとリアルタイムで観戦することができた。楽天tvに契約して、きちんと放映を見た…