乞子漫筆

コロナと穢

コロナウィルスの感染拡大は世界規模となり、大変なことになっているのは誰もが承知していることなので、そのことについて私がつけ加えることは何もない。ただ、今回の感染予防として取られた対策が、私に日本の触穢思想を思い出させたので、それについて少…

Rの快楽

イタリア語のRの発音が好きである。いわゆる、巻き舌のアールで、昔バイクのコマーシャルでソフィア・ローレンが「ラッタッター、ラッタッター、ラッタッター」と声に出すものがあって、何とも言えずその音の響きがとても好きだった。真似をしてよく自分でも…

勝手な想像

多分そうではなかったんだろうと思いながら、勝手な想像をしてしまうことがある。よく街中で宣伝している「ホット・ヨガ」なるものについてである。日本でヨガを始めてそのすばらしさに目覚めた彼/彼女が、ヨガ発祥の地であるインドに憧れ始め、ついにその…

異邦人と敗者

歴史を読む中で、権力者の振る舞いや政治史よりどうしても敗者や虐げられた人々に目が行き、民衆史や生活史のほうに興味を持ちがちなのは、わたしが取りも直さず敗者であるからに他ならない。今年は数えで六十になったわけだが、この六十年を振り返って、確…

幕臣能吏の明治維新

田中正弘著『幕末維新期の社会変革と群像』(吉川弘文館、2008)に収められた、「維新変革と旧幕臣の対応」という論文を読んだ。幕臣であった宮本久平と小一父子の幕末から明治にかけての動向を追ったもので、維新による幕臣の転身の多様さの中でもめずらし…

県民性

鹿児島県出身者の集まりで香りについて講演をした。わたしは佐幕派なので完全アウェーである。とは言っても、江戸に幕臣の子孫などほとんどいないように、鹿児島出身だからといって薩摩藩の志士の末裔ばかりが集まっていることはないから、しごく和やかな雰…

旗本・香水・鏡

今わたしが最も興味を持っているのがこの三つのことがらである。より詳しく言えば、幕末から明治初期にかけて朝廷に帰順した旗本たちの動向とその背景の探求、産業史としての香水および香料業界、そして鏡とビジュアルアート(特に西洋美術)との関係、とい…

歴史小説

わたしは歴史小説を読まない。ましてや大河ドラマはまず見ない。何というか、不満と違和感で不愉快になってしまうからである。司馬遼太郎などまったく好まない。「峠」だけ昔読んだことがあるが、その後二度と司馬の本を手にしていない。フィクションならま…

ビッグデータ

数年前に聞いた話だから今もその通りであるかは知らないが、IT業界では2045年問題というのがあるそうだ。その頃にコンピューターや人工知能が人間の脳を超えるという。そうした時代の到来に備え、人間の究極の目的を考えるチームが、インテルなどには3000人…

誰も不思議に思わない

考えると不思議なのである。どうしてこうまでテレビ番組に料理や食べ物があふれることになったのか。高山大人はテレビと料理は相性がいいと言うけれど、テレビで味は伝わらないからである。いわゆる食レポのおかしな日本語の下手な味表現を見たり聞いたりし…

香り・ことば・AI

渋谷のヒカリエで開かれたセントマティック社のKAORIUMのプレス発表会に行って来た。「香りの超感覚体験を作る共創型プロフェッショナル集団」による、「香り」と「言葉」の変換システムだという。そう聞いては、香りと言葉のプロを自認するわたしとしては、…

中二病

この言葉が広く知られるようになって久しい。その特徴や実例を読むと今の自分にもあてはまることが少なくなくて苦笑を禁じ得ないが、振り返れば確かに中一の秋ぐらいからから中二の終わりまでは、大人ぶって背伸びしているくせに驚くべき無知さをさらけ出す…

女の聲

ネズミという名のコンピューターのCMが嫌いである。何坂だか知らぬが、とにかく女性のタレントグループが出ていて、ネズミ、ネズミと連呼するやつである。ぱっと見てわたしの好みの女の子がいないこともあるが、何よりその歌声が嫌いなのである。ひとりひ…

昔のFM

中高生のころ、よくFM放送を聞いていた。あの頃はオーディオに凝った高校生など案外多くて、親にせがむと母親がコツコツ積み立てていた貯金を出して、テクニクスの「ステレオ」のセットを買ってくれた。嬉しかったが、今考えると申し訳ないような気にもなる…

京都ぎらい

わたしは京都が嫌いである。一時は足繁く通っていたこともあるが、あることをきっかけにつくづく嫌になった。なまじ好きだっただけに、ケチがついて嫌いになるととことん嫌になる。京都生まれや京都に住む人たちに知人は増えたし、中には結構親しくして貰っ…

ものの数にも入らない

こちらでは親しく接して貰っていると思っているが、要するにその人にとって自分がものの数に入っていないことがわかって寂しくなることがある。ある写真家の写真を江戸絵画と組んで見せるという試みがあって、これを見た人が感動してこの試みを多くの人に知…

京大式

カードの作成を始めた。もちろん、クレジットカードでもタロットカードでもなく、B6のいわゆる京大式のカードに読んだ本から得た知識やアイデア、関連する事がらなどをメモしていくのである。学生時代に鏡の研究をしている際や、最初の著作を書いていた時分…

未来の生活

ずっと昔の話、テレビ電話があったらどんなに便利で楽しいだろうと(多くの人が)思っていた。今や完全にそれが実現しているが、その間にもはや電話をする人がいなくなってしまった。もちろん、今でも電話をすることはあるし、遠いところに住む親子などがテ…

ノーベル文学賞

今年はペーター・ハントケというオーストリア人の作家がノーベル文学賞を受賞した。読んだことも聞いたこともない人だが、受賞に反対する人たちの言い分を聞く限り偏りのある問題なしとしない人のようである。毎年、その時期になると日本では村上春樹の受賞…

テック族

日経ネット版で連載中の「プロ野球動かしたテック族」が面白い。近鉄とオリックスの合併に始まった一連の球界再編の裏側に関わった人々を取り上げ、スポーツ新聞ではわからない「ことの本質」を丁寧に検証している。これを読むと、激動のパリーグが、ソフト…

下品な顔

テレビのニュースを見ていて急に嫌な気分になってチャンネルを換えるか消すことが最近多くなっている。言うまでもなく、安倍とトランプが出てくると、人品の卑しさ下品さに思わず顔を背けたくなるのである。安倍の卑劣さと開き直った厚顔無恥には呆れ返るし…

札幌マラソン

東京オリンピックのマラソンなどの競技の開催地が札幌に変更されたそうだ。私は小池都知事を支持していないし、そもそも日本でオリンピックをやることにも賛成でなかった。それでも、この唐突で常軌を逸した決定には、納得いかないものを感じるし、都が費用…

国宝級

私はのんさんこと能年玲奈の大ファンである。あまちゃんで出会って以来、そのピュアで透明感のある可愛さとその憑依型の演技に魅了されて来た。声も好きだし、その顔立ちがきわめて魅力的だと思うのである。いまだに、自ら監督した映画で女子高生役をやって…

ワールドカップ

今回のラグビーワールドカップは、スタンドでの観戦こそ出来なかったが、いろいろな場所でテレビ観戦をした。予選プール中は日本にいて家のテレビで見ていたが、日本が南アに敗れた試合はリスボンのスポーツカフェで、同じ日の前の試合で敗れたばかりのフラ…

データ貪欲

医療やヘルスケア関係の開発に関わる方々と話をする機会があった。真面目な研究者なのだと思うが、その発言には思わず耳を疑いたくなるものが少なくなかった。彼ら彼女らは、とにかくデータが欲しいらしい。大量で、かつ他社が持たないデータを持つことを心…

勢い

ニュージーランドが負けた試合を見ていて、流れというか勢いというものの怖さを改めて感じた。あっという間に最初のイングランドのトライを許した時点では、確かにフォワードの突進力の勢いに驚いてはいたものの、すぐに取り戻せると思っていたのだが、ニュ…

歓喜

ついに勝った。ラグビー日本がスコットランドを破ってベスト8進出を決めた。ただ勝っただけでなく、スコットランドの無駄口を黙らせた喜びがある。台風の接近に伴い試合の中止があり得ることが告げられ、その場合引き分けとなって両チームに勝ち点2が与えら…

怒り心頭

午後松岡正剛さんに会いに赤堤に行く。原稿の依頼方々の挨拶だが、一時間いろいろな話をする。十文字美信さんに撮り下ろして貰った香道具のカレンダーを持参して感想を聞きながらいろいろ話をしたかったのに、豪徳寺の駅で待ち合わせた広報のМが、何と電車の…

西武優勝

西武ライオンズが優勝した。とても嬉しい。私はここ三四年前からのファンなので明らかに「ニワカ」なのだが、大好きなチームである。強いから好きになるということもあるにはあるが、強いソフトバンクや巨人のファンにはならないのだからそれだけではない。…

好み

最近、お笑い芸人で面白いと思うのは、 シソンヌ、三拍子、やさしいズと空気階段である。 特にシソンヌのジローさんが大のお気に入りである。