2016-01-01から1年間の記事一覧

極端人

八月三日(水)雨後晴 南方熊楠と柳田國男の往復書簡を讀んでゐる。樟腦について調べる中で明治末の神社合祀問題に行き當り、熊楠が猛烈な反對運動をしてゐたことを知つて、改めて熊楠に興味を持ち始めたのである。『南方熊楠と神社合祀』といふ、そのものズバ…

意気阻喪

八月朔日(月) 八月になりやつと夏らしい暑さに成つて來た。七月は割と人に會ふ機會や飲み會も多く、それなりに樂しく過ごしてはゐたのだが、此のブログを含め「書く」氣力が頓に失はれて久しい。日常生活の雑事、職場のストレス、氣掛かりなことの存在。其れ…

恋人

七月九日(土)雨後陰 私には満嶋ひかりに似た恋人がいる。嬉しくてならないが、心配で一杯でもある。大学のサークルの合宿のようなものに大勢で出掛けていたが、皆にはつきあっていることを知らせていないので、一応素知らぬふりをしていたからである。それで…

結跏趺坐

七月四日(月)晴 会社に行こうと電車に乗ってうとうとしていたら、気がつくと電車は大阪環状線になり、桜ノ宮に着くところだった。まさかと思いながら慌てて降りて駅前の路地にあった公衆電話で実家に電話を掛けようとする。百円玉を入れるのだが、何度も戻…

述懐

六月二十九日(水)陰 不幸のどん底にある時優しくなぐさめ励ましてくれた友が、自分がまさに飛躍を遂げ、活躍の場を広げようとする時にもまた喜んだり、励ましてくれるとは限らない。志の高い仕事を成し遂げようと決意し、それに取り掛かろうとした時、足を引…

肉がない

六月二十五日(土)陰 能年玲奈がI君の背中を摘まんで「肉が無い」と言う。「鍛えているからね」と得意気なI君。ピンホール写真がよく撮れて気をよくしていた私だが、それを聞いて不愉快になり、鍛えていない自分の体を恥じる。イライラはどんどんつのり、私…

蛙汁とBM

六月二十一日(火)雨 村の公民館のようなところで映画の上映があるという。二本同時に上映され、どちらを見てもよいのだが、ひとつの方はスープのふるまいがある。私は最初スープを取らずにその映画を見るつもりでいたのだが、あまり勧められるので大きめのカ…

カップル二組

六月十七日(金)晴 会社のような学校である。居るのは会社の人間が多いが机や椅子は教室そのままである。それなのに机の上には香水や化粧品の雑誌が並んでいる。黒板の前に高校二年生くらいの男女が新入社員として紹介されているが、どう見ても転校生である。…

コリジョンルール

六月十四日(火)晴後陰 広島がコリジョンルールでサヨナラ勝ちを収めた。このプレー自体の判定の是非はここでは問わない。しかし、多くの選手や解説者が言うように、野球の本質を損なう馬鹿げたルールである。今回のプレーにしても、メジャーリーグで採用され…

ドラレコ

六月十二日(日)晴後陰 二俣川に運転免許の更新に行く。初めて日曜に行ったが、平日よりむしろ空いているようだ。講習でビデオを見る。ドライブレコーダーに記録された事故映像は、初めて見た時こそ生々しさに驚いたものだが、今やユーチューブでもっと過激な…

一転

六月十一日(土)晴後陰 三時より一如庵にて稽古。流し鈴慕につき、音程やコミ吹きの入れ方、そしてテンポなどにつき細い指示を先生より戴く。自分でも不確かに吹いていたところもあり、色々なことが明確になってとても為になるお稽古であった。また、先生より…

無欲化

六月十日(金)晴 水曜の夜野毛で元居た事業本部の後輩二人と飲む。嘗ては楽しい仲間であったが、今や会社を背負って立つ二人とは立場も違うせいか、職場や仕事の話題中心の彼等に付いて行けず。また、会社の人間たちや状況に対して思う事にも微妙にズレが生じ…

ISOT

六月八日(水)陰 月曜から、横浜パシフィコで開かれている嗅覚と味覚に関する国際シンポジウムに出席している。日本味と匂学会というものがあり、私も久し振りに会費を払って再入会して、今年はその学会と海外の関連学会との共催で国際シンポジウムとなる年に…

天心

六月四日(土)晴後陰 浅草に映画『天心』を観に行く。言わずと知れた岡倉天心を主人公とする映画である。天心役は竹中直人で風貌こそ似ていなくもないが、いつもながらの大袈裟な演技で天心の理想や苦悩が安っぽいものになっていたのは残念であった。横山大観…

ひとり飲み

六月二日(木)晴 昼休み散歩第二弾。吞川沿いを歩き、駅近くを歩いて嘗てMさんとよく行ったジャーニーと言うバーが建物ごとなくなって更地になり、パチンコ屋建設予定地になっているのを発見。無常迅速である。線路を越え西口に出てOUR GANGという店は今もあ…

気散じ

六月朔日(水)晴 昨日は午前中研究から元同僚の女性二人が来ていたので昼ご飯を倶にして随分と気が晴れた。二人とも私が現職場でげっそりと疲れた表情で居るのに驚いていた。研究に居る頃とはおよそ顔つきからして違うらしい。それにしても彼女たちは一緒に働…

迷走

五月三十日(月)雨 新しい職場に移って二か月。全く慣れない。日々元気が無くなり、歯を喰いしばって頑張ろうと思うのだが、気力が萎えて行くのが自分で分かる。職場で挨拶以外に話をすることはなく、ひとり黙々と資料を読む。社史編纂室が窓際族の墓場だと言…

淺い夢

五月二十三日(月)晴 今朝、竟に夢の中で調香をしてゐた。処方箋を書いて打ちだし、アシスタントに調合を頼みに行つて、さうだ処方はコンピユーターでまづ自動調合機に送るのだつたと気づく。香りを創るのは樂しく、今更ながらに最高の仕事だつたと思ふ。失つ…

呆れてものも言へぬ

五月十日(火)陰 ニユースの傳へる處に拠れば、被災地での盗難に對して厳罰化を自民黨が検討してゐると言ふ。發想の貧しく馬鹿げてゐる事この上ない。被災地であらうとなからうと、盗難は盗難である。其処に罰の差異を設ける事に余は如何なる正當な論理も見出…

五月病

五月六日(金)陰 出勤なり。既に五月病の様相を呈す。但し余の場合、職場の異動から來るストレスもあるにはあるが、それ以上に連休中に讀み書きや書道など計畫してゐた事が殆ど出來なかつた事への後悔によつて引き起されたやうである。言ふまでもなく其の理由…

金属十日

五月五日(木)晴 ベィビーメタルを知つて十日になる。此の間一日として彼女らの歌と踊りを見ずに過ごしたことはない。そして、ネツトを通じて手に入れることのできる情報の殆どは目にして來た。其の中には彼女らの若い頃のさくら學院なるユニツトでのテレビ番…

言靈

五月四日(水)晴 午後鎌倉建長寺に赴き金澤翔子さんの書展を觀る。素晴らしい。般若心經の丹精、蘭亭序の品格、いろはの破格、魂魄の氣迫。しかし何と言つても「言靈」の鬼氣迫る力強さに言葉を失ふ。忘れかけてゐた「ことば」への畏敬を思ひ出すに足る、文字…

千葉茨城

五月二日(月)晴 四月二十九日から車で關東を廻つてゐる。佐倉の堀田邸、順天堂、武家屋敷、佐倉高校及び歷史民俗博物館を見學、佐倉に泊まつたのだが食事をする店を探すのに難儀した。旅で泊まるべき處ではなささうである。翌日は香取神宮を参拝した後佐原の…

レアメタル

四月二十九日(金)陰 此のところ毎日家に戻るとユーチユーブでベィビーメタルをずつと見てゐる。余の惡い癖だが氣に入るととことん厭きるまで夢中になるのである。最初の衝撃が過ぎて、次第に曲ごとの雰囲氣や振付の違ひ、そして何より三人の女の子たちのより…

金属赤児

四月二十六日(火)晴 何度も此処で書いてゐるが、余はAKBとかSKEとかいつた地名を使つた若い女の子のグループに興味はない。と言ふより嫌ひで憎んでゐると言つてもよい。女といふものは、其れがたとへ少女であつても群れると生來の心根の醜さが増幅され…

旅愁

四月二十四日(日)陰 横光利一の「旅愁」をやつとのことで讀み了へた。實に退屈なつまらない小説である。今まで全く横光利一を讀んだことがなく、偶々新感覺派に關心を持つたところから讀んでみる氣になつたのだが、奇妙と言ふか變な小説が多くてつい讀み進み…

樂しい夜

四月二十一日(木)陰後雨 此の間十五日に紀尾井ホールの演奏會「竹の力」を聴き、翌日は會社の經營會議なるものに出席し、翌日曜日は如道會例會、月曜は會社同期の歓迎會と續いた。二十日の水曜は仏蘭西から研修で來てゐる若い仏蘭西人二人と晝食を倶にし、今…

囘歸

四月十三日(水)雨後陰 何もかもが嫌になることが年に何度かはある。ひとつひとつは大したことではないが、意に沿はぬことや落胆することが續いてすつかり意氣消沈してしまふのである。鬱鬱として樂しまず、何もやる氣が起こらない。職場の息の詰まるやうな環…

所在なき日々

四月七日(木)陰 慌ただしく、また何か落ち着いて仕事に取り組む時間もないままに日々が過ぎてゆく。昨日は久しぶりに古巢の研究所に行く用があつたが、人も變はり組織も變はり、既に余の居場所は無いもののやうであつた。さりとて、「經理」と「総務人事」と…

彼誰春の會

四月二日(土)陰 夏と年末恒例の彼誰の會合を春もやることになつていつも通り中野第二力酒蔵に五人集まる。六時集合解散十時前。いつもながら畏友H氏の博覧強記に一同感服しつつ樂しく過ごす。これも恒例となつた話題にした人物の列挙をやりたい。ただし、毎…