2016-01-01から1年間の記事一覧

煎餅屋

十月二十四日(月)天晴 喫茶店でコーヒーを飲んでいると、窓の外、通りの反対側に父と母が煎餅屋を出していた。三田は綱坂の神社の門前である。行ってみると、古い日本家屋の二軒煎餅屋が並んでいる中の、煙草屋のように外から買えるだけの店内のないみすぼら…

世界進出

十月二十二日(土)陰 ピコ太郎の勢いが凄い。YouTubeでの再生回数がとんでもないことになっている。PPAPは初めて見た時から大爆笑した。あの言葉の音感だけで笑わせるセンスと馬鹿馬鹿しさ、意外に細かい振り付け、奇抜なファッションとともに只者ではないと…

夏冬

十月二十一日(金)晴後陰 此の処毎日服装を変えなくてはならない。一昨日は冬服、昨日は夏服、そして今日は再び冬服である。単衣と袷を日によって選ばねばならない訳だから異常であろう。ところが、こんなに気候が変動しているのに因習固陋なお茶の世界では昔…

窒息

十月十八日(火)晴 職場での窒息感が強まっている。息苦しく頭が重い。自分がやっている仕事が無意味に思え、こんなことをやらされている自分は会社にとっても社会にとっても無用なのではないかという気になる。自分の感じ方や思いを共有して貰えそうな人は…

演奏会終了

十月十四日(金)晴 火曜の夜嶺庵で尺八の練習をするうち俄かに寒気を催し、葛根湯を服して休むも翌朝体調優れず。止むを得ぬ仕事のあれば出社するも、午後身体の節々に怠さを覚えて早退す。木曜朝に至って更に喉の痛み加わり、翌日の演奏会を控え休むことに…

断片

十月十一日(火)陰時々晴 家でたまたま前の妻が忘れて行った小冊子を見つけ、畳の上に寝転がりながらぱらぱらめくってみる。すると前妻の実家であるS家のことがいろいろ書かれている。私も知っている前妻の兄について、子供のころ神童と言われ、前世の記憶に…

予報外れ

十月九日(日)陰後晴 木曜の夜から年史の調査と美学会出席のため京都に来ている。出る時の予報では土日雨とのことであったが、結局持参した傘を開くこともなく過ごせた。今日は学会の発表を聞く合間の時間で今月一日より公開となった三井家下鴨別邸と樂美術館…

淫夢

十月七日(金)晴 元の職場の某夫人とわたしの家の広い和室で布団にくるまってぴったりと抱き合っている。身体の凹凸が合うのか文字通りの密接である。わたしは誰かに見られるのを恐れ、布団のフードのようなものを彼女の頭に被せてから徐ろに挿入する。最初…

横櫛再会

十月二日(日)陰時々晴 九時過ぎ車にて出發、一路甲府に向かふ。晝前山梨縣立美術館に到着。レストランにて晝食の後『煌めく名作たち』展を觀る。京都國立近代美術館所蔵作品を中心にした展覽會である。好みの問題もあらうが、總じて日本畫の方に優品が多かつ…

淺草早稲田

十月朔日(土)陰 朝九時過ぎ家人と倶に家を出づ。新橋から地下鐡に乘り換へようとすると、SL廣場にて古本市開催中なれば一巡りして杉浦明平『崋山探索』を得る。銀座線で淺草に赴き、雷門の並木藪にて蕎麦を食してから伝法院通りの辻屋本店に行く。黒紋付き…

野溝七生子というひと

九月二十八日(水)晴後陰 矢川澄子『野溝七生子というひと』読了。先日目黒川沿いの古書肆でその存在を知り、アマゾンで調べたら安く出ていたので購入して早速読んだものである。恐らく、矢川澄子も野溝七生子も、今では余り知られた存在ではあるまい。矢川は…

盛り沢山

九月二十四日(土)陰時々雨 五時半過ぎ起床。八時前夏目坂から少し入った処にある一如庵に着く。布袋軒鈴慕の稽古を令先生から受ける。自分で気づかない吹き癖を多く指摘されるとともに、音の下るところや音程の取り方など細かく指導を受ける。文字通り、ひと…

啓蒙と憂鬱

九月十八日(日)雨 灼熱の砂漠で国際会議が開かれていて私もそこに参加している。何か思い悩むところがあるようで、憂いを含んでひとり外に散歩に出掛ける。すると、外にはハイヤーがたくさん並んでいて、着物を来た若女将のような人が早く乗れと言う。会場ま…

楠と鴫

九月十七日(土)陰時々晴 家内と車で町田に行き岳父母を乗せ小田原に向かう。松琴楼にて鰻を食した後誓願寺に墓参。外郎を買った後渋滞の中一路湯河原へ。五所神社に赴き、楠の大木二つを見る。樹齢650年と800年とのことにて、さすがに生命力横溢した樹容なり…

事故続き

九月十六日(金)陰時々雨 一如庵らしき畳敷きの広間に居る。大きな川に面した窓の欄干にもたれて川面を眺めていると大きな船がコントロールを失って流され、停泊中のボートを巻き込んで川岸に激突する。それ以外にも川には驚くほどたくさんの船が浮かんでいて…

焦燥離仏

九月七日(水)晴 10時過ぎチェックアウトして、凱旋門からシャンゼリゼを下り、地下鉄で再びシャトレに出て橋を渡ってサンジェルマン地区を散策。昨日よりはましだが、足腰はまだ弱ったままである。再びサンジェルマンデプレ教会横の公園で、私だけ座って休む…

急変

九月六日(火)晴 いつもより早く起きて部屋の掃除。この日アパルトマンを引き払うためである。荷物をまとめ掃除を終え、九時過ぎ立ち退き。それから近くのタクシー乗り場まで行き、そこから凱旋門近くのホテルへ。そこに荷物を預けてから地下鉄1番線でシャト…

蓋置

九月五日(月)雨 クリニヤンクールの蚤の市に出掛ける。相変わらずあまり治安のよくなさそうな地域である。月曜の上に小雨が降ったり止んだりのせいか、人も少ないが空いている店も少なく、ある意味ゆっくり見ることができた。最近出来たテーマパークのような…

美術館

九月四日(日)晴 昨日の疲れもあって遅く起き、十時近くになって地下鉄でラズパイユのマルシェに出掛ける。ここはBIO、すなわち有機野菜などの専門朝市ということもあって、家内が最も楽しみにしていたもののひとつである。野菜や果物、パンなどをどっさり買…

作者の家

九月三日(土)晴 昨夜寝るのが遅くなったこともありゆっくり目に起きる。今のところ時差ぼけはなく毎晩きちんと眠れている。九時半頃出発、最寄の駅でメトロRERのゾーン5までの一日券を購入してリヨン駅に向かう。そこから10時38分発のRERのD線に乗り、一時間…

金曜日

九月二日晴 朝食をゆっくり取り、九時過ぎに近くのマルシェに出掛ける。いわゆる「朝市」で、露店が道路に面しずっと続く。結構な賑わいである。果物野菜卵などを買って帰る。今回のパリ滞在中は極力自炊するつもりである。お金がないということもあるが、そ…

二日目

九月朔日(木)晴 ぐっすり眠って七時過ぎ起床。家人がバゲットを買いに行き、タルティヌにして朝食とする。入浴後出発。まずアベス駅に行き地下鉄の駅の入口の写真を撮り、珍しくモンマルトルの丘に登る。周辺を散策の後ルース作トリスタン・ツァラ邸に行き写…

初日

八月晦日(水)晴 朝羽田空港に移動。十一時過ぎ発の全日空機にて渡仏。機内で映画を四本観る。「ロクヨン」「僕だけがいない街」「マネーモンスター」「偉大なるマルグリット」。四時パリに着くも入管は長蛇の列で窓口は二つだけ。今までで入国審査に一番長く…

日々雑事

八月二十五日(木)晴 先日auの携帯電話を解約した。八年使った二つ折の形のものだが、この形のものは絶滅危惧にあるとのことで、それならこの際解約することにしたのである。殆んど使う事もなく、そもそも家に置きっぱなしなのだから不要なのである。特に、最…

刻印

八月二十三日(火) 理解に苦しむ言動といふものに出喰はす事がある。日常生活に於いてもあるが、其の場合は些細な事柄で、ちよつとした驚きや失笑で終はつてすぐに忘れてしまふ事が多いのに對し、冠婚葬祭といつたハレの場でさういふことに出会ふと印象が強い…

肛門とハイボール

八月二十二日(月)雨後陰。颱風通過。 円い透明なカプセルの中にドラム式の洗濯機が入ったものが沢山あって、同時にすべてがクルクル回ってドラムの中では洗濯をしている。洗濯機の中のものは洗濯槽とカプセルの二重の回転をしているわけである。洗濯が終ると…

哀しい色調

八月十五日(月)陰 南ドイツの都市を訪れている。丁度、町を挙げて女流画家ゼルダ・フッテンバーグの回顧展が各所で開かれており、私はそれを目当てに彼女の生地でもあるこの町にやって来たもののようである。内省的な色調と、ウール素材の衣類の質感の描写に…

悲夏

八月十四日(日)晴 二週間以上風邪の症状が続く。喉が痛み咳鼻水が止まらず、一時熱も出て肺も苦しくなったので医者に行って胸のレントゲンを撮ったが肺炎ではないようだった。それでも頭と目の裏側が痛み、休みの間殆ど本も読めずものも書けない状態であった…

三色弁当

八月五日(金)晴 車で旅行に出掛ける。一階と二階とを使えるコテージ風の宿である。私が風呂に入っていると幼いままの従兄弟や姪たちが来て遊び始める。その中に三歳くらいの息子も交っていて、改めてこの子は特別に可愛いいと思う。それから家内が先に帰った…

歓談

八月四日(木)晴 六時半より赤坂のベルギー料理店「Chez Mikawa」にて、化粧品業界の大先輩Nさん、香料業界の大先輩Yさんと三人で会食。楽しく過ごす。久しぶりのベルギービールも美味。お二人の話は興味深いことばかりであっという間に10時半過ぎとなり、タ…